研究課題/領域番号 |
15520031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
長滝 祥司 中京大学, 教養部, 教授 (40288436)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 身体 / 身体性認知科学 / 現象学 / 他者 / 共同注意 / 心身二元論 / 発達 / 表象 / 言語 / 間主観性 / トマセロ / メルロ=ポンティ / 心 / コミュニケーション / ロボット / 相互作用 / 視線 / 志向性 / 認知 / 発生 |
研究概要 |
ヒューマノイド型知能ロボットを創ろうとするとき、創発主義的方法論を採用するロボティクスは、「学習」や「環境との相互作用」の重要性を強調する。人間の場合、学習には身体の物理的な発達が不可欠に関与しているが、ロボットの身体を物理的に成長させることは不可能であろう。一方で、何を出発点として学習を開始させるかを確定することは重要な課題である。というのも、学習以前の初期状態にたいする何らかの雛形がなければ、ロボットが人間的知能を実現できるか否か予測がつかないからである。ロボットの形状を大人の人間に似せて作ることでは、この問題は解決しない。ロボットの初期状態にどのような身体能力を付与するか、ということが問題として残っているからである。ここに、身体の初期状態(起源)を探る哲学的な意味も生じてくる。本研究では、現象学的な用語法をふまえ、この身体を「原身体」と名づけ、これを探るプロジェクトを「身体のアルケオロジー」と呼ぶこととする。 申請者はこのプロジェクトを遂行するために、まず伝統的な現象学的身体論が認知科学の成果を取り入れた現代の哲学的身体論に与えている影響を考慮しながら、認知科学における身体重視の傾向の哲学的根拠を探った。さらに、身体性認知科学において重要な役割を担っている発達心理学と進化生物学(霊長類学)との比較研究を参照しながら、身体を学習・言語論的な観点から考察し、現象学の伝統的な身体論の刷新を試みることで、原身体に関する具体像の記述を目指した。また、文献研究だけでなく、身体性認知科学の分野で実際にヒューマノイド型ロボットを作成している研究者との共同作業による研究遂行を試みた。以上によって、本研究の当初の目的は大方達成されたと言うことができるが、身体のもつ社会認知的な意味についての探求が次なる課題として浮かび上がってきた。
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