研究課題
基盤研究(C)
カントの批判哲学に基づいて「基本的人権」の本質を形而上学的に分析し、「批判的」考察を加えた結果、この問題を解明する鍵は、具体的に日本国憲法の基本原理、すなわち「個人の尊重」(13条)と「公共の福祉」(「他者の尊重」)(12条・13条)、そして「人間相互の道徳的関係性の確信」と「永遠平和の理想達成の努力」(前文)の本質の中にあることが明らかとなった。そして、さらにこれらの問題は、次のような「批判的」課題として捉えられることが明らかとなった。すなわち、これらの基本原理は、理論として正しいかどうか?仮に正しいとしても、実践において役に立つかどうか?実践に役立つとしても、どのように実践すべきか(実践できるか)?『判断力批判』と『人倫の形而上学』の中で展開されているカントの道徳的目的論によれば、日本国憲法の基本原理は、理論として正しいばかりでなく実践において有用でもある。なぜなら、そこでは、常に自己陶冶に努めるべき(努めることができる)「個人(実践理性)の自律」がすべての原点となっていると考えられるからである。つまり、国や地域、国際社会はこの「自由な個人」によって構成されるもの(構成されうる・構成されるべき)であり、この「自由な実践主体としての個人」は、「『人間を自分自身の目的とすること』を自らの義務である目的として自覚」することができる、すなわち、「自己の完成」と「他者の幸福」(つまり「他者め尊重」「他者への寛容」)を自らの「同時に義務である目的」として自覚して自己陶冶に努めることができる存在であるといえるからである。今日の世界において民主主義の原理が普遍的であるといえる所以は、まさにここにあるといえる。これが、本研究の結論である。
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Actes du Colloque international 《 Kant, les Lumieres et nous 》 (印刷中)
Akten des X. Internationalen Kant-Kongresses,Recht und Frieden in der Philosophie Kants" (印刷中)
Cites 27(印刷中)
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法の理論(成文堂) 24
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Ho no Riron(Jose Llompart, Yoshiomi Mishima, Kou Hasegawa, ed.)(Seibundo) Vol.24
法の理論24(ホセ・ヨンパルトほか編)(成文堂)
Kant, les Lumierres et nous Les actes du colloque international, Tunis, 8-11 decembre 2004
ホセ・ヨンパルト他編『自由と正義の法理念』 成文堂
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Two ideas of law, justice and freedom (Jose Llompart, Shigeaki Tanaka, Ken Takeshita, Hideo Sasakura, ichiro Sakou, Takao Nagao, ed.)(Seibundo)
Akten des X. Internationalen Kant-Kongresses "Recht und Frieden in der Philosophic Kants", Berlin, 2006 (in press)