研究課題/領域番号 |
15520067
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
思想史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 純 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (10251331)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | イメージ / 形態学 / 文化科学 / アビ・ヴァールブルク / 記憶 / 原型 / ゲーテ / エルンスト・ヘッケル / 細部 / 美術史学 |
研究概要 |
本研究によって20世紀のイメージ分析における形態学的方法論について次の成果を得た。 1.アビ・ヴァールブルクの図像アトラス「ムネモシュネ」を解析し、そこに形成されているイメージ記憶の多次元的なネットワーク構造を明らかにした。 2.「原型」概念と図像学との関係を中心とした、ヴァールブルクに対するゲーテ自然学の影響を考察した。その過程で、ボッティチェリの絵画における「細部」表現への着目を媒介として、ヴァールブルクと矢代幸雄の分析手法を比較した。 3.レヴィ=ストロースの構造主義やカルロ・ギンズブルグの歴史分析(ミクロストリア)などをとりあげて、文化科学における形態学的方法論の将来的可能性を検討した。さらに、写真や映像が形態学的方法論に及ぼした影響を分析したうえで、現代におけるゴダールの『映画史』をはじめとする映像作品に、同種の方法の活用を見出した。 4.文化科学諸分野におけるゲーテ的形態学の影響の背後に、個体発生と系統発生を結びつけて進化論を発展させたドイツの動物学者エルンスト・ヘッケルの業績があることを見出し、19世紀以降の生物学における生命形態変化の理論とその図像的表現が、視覚的イメージをめぐる文化科学的分析に深い影響を与えていることを明らかにした。 5.進化論は、視覚イメージ現象の生物学的基盤の解明とともに、生命の形態学約変化を図像化したことにより、視覚的イメージをめぐる文化科学的研究ばかりではなく、視覚芸術の創造活動にも影響を及ぼしており、この影響関係のプロセスの究明が今後の課題として発見された。
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