研究課題/領域番号 |
15520090
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学・美術史
|
研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
小川 勝 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (60214029)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | フランコ=カンタブリア / 洞窟壁画 / 動物像 / 写実的表現 / 統合 / 現象学 / 表象 / 解釈 / 後期旧石器時代 / フランコ=カンタブリア美術 / 作品と岩面の統合 / アルタミラ洞窟 / フォン=ドゥ=ゴーム洞窟 / ショーヴェ洞窟 / 画像と壁画の統合 / 西ヨーロッパ / ペシュ=メルル洞窟 |
研究概要 |
洞窟壁画の動物像がどのような造形原理により極めて写実的な表現になったのかを解明するため、「統合」という概念のもと、フォン=ドゥ=ゴームとアルタミラの両洞窟で独自にデータ収集し、洞窟内の自然の岩面の形状と作者たちが作り出した形態が一致していることを明らかにすることができた。それにより、作者たちは洞窟の暗闇に入り、持ち込んだ簡単なランプの炎の作用により、自然の岩面に動物のかたちを見いだすことで表象行為を行っていたのではないか、という考え方を提出することになった。作者たちにとっては、見ることによる表象が第一義的に重要であり、その後、自分たちが見たかたちを彩色などでなぞることにより、現在の我々が写実的な動物像と見なす作品になったのではないだろうか。 このような成果を受けて、内容論的な解釈論にも踏み込み、作者たちにとって見ることの表象にいかなる意義があるのかを考えることになり、「呪術説」などを検討した。この研究は、洞窟壁画の写実的な動物像に対象を絞っており、量的には動物像をしのぐとされる「記号」などの抽象的表現などは射程外ではあるが、「呪術説」に従うなら、「記号」も付加的なものとして位置づけられるのではないだろうか。 洞窟壁画の作者たちは、自然が本来有している形状に謙虚に寄り添い、そこに自分たちの必要とする形態を見いだし、最小限の制作行為により、現在の我々をも驚嘆させる写実的な動物像を実現させることができたのである。
|