研究課題/領域番号 |
15520157
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ語系文学
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
山口 裕之 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (40244628)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ベンヤミン / メディア / アレゴリー / 都市論 / 歴史概念 / メディア理論 / 記憶 / 文化研究 / パラダイム転換 |
研究概要 |
1.ベンヤミンのメディア理論における二つの系列 本研究では従来取り上げられてきた「映画」や「写真」などの<画像メディア>)の系列とともに、<言語メディア>の系列もパラレルな展開のうちに捉え、「映画」をその両系列の接合の段階として位置づけた。それにより、音声→文字→技術メディアというマクルーハン以降のメディア論において一般的に前提とされているメディアの展開の図式を、より重層的な展開の枠組みで位置づけなおすことになった。 2.メディアの技術性と魔術性という両極 複製技術論では、メディアの展開に伴って「技術的複製可能性」が増すにしたがい、芸術作品がその原初的段階において本来的にもっていた魔術性、また身体性も次第に払拭されてゆく。しかし他方で、少なくとも文字メディアから技術メディアへの発展にともなって、擬似的な身体性があらたに獲得されるという側面も存在する。魔術性もその「世俗化」の過程で完全に消滅するのではなく、複製の究極的な段階では、「現実」との区別がもはや不可能となり、言葉が再び(仮想的)世界を創造する別種の魔術が生み出されることになる。 3.アレゴリー的思考とハイパーテクスト ベンヤミンのアレゴリー的思考は、思考モデルそのものとしては、初期のハイパーテクスト理論家の構想をはるかに凌駕する。現実のウェブ上のテクストやウェブ環境は、ベンヤミンの思考モデルを次第に実現する過程であるようにさえ見える。しかし、そのようなハイパーテクスト理論との親近性を持つとともに、根本的に神学的思考に支えられたベンヤミンのアレゴリー的思考には、メディア論とは明確に袂を分かつ点がある。ベンヤミンの歴史哲学的思考にとって、メディアが展開する世界はあくまでも破局に向かう「歴史」の世界であり、それを超越的に捉える天使のまなざしに対する意識がベンヤミンにとっては決定的である。
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