研究課題/領域番号 |
15520161
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ語系文学
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
三浦 玲一 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 助教授 (70262920)
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研究分担者 |
川端 有子 愛知県立大学, 外国語学部, 助教授 (80224830)
戸田山 みどり 八戸工業高等専門学校, 総合科学科, 助教授 (40342448)
渡辺 美樹 名古屋大学, 大学院・国際言語文化研究科, 助教授 (90201235)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 児童文学 / セクシュアリティ / フェミニズム / ジェンダー / ポストモダニズム / 英米文学 / ジェンダー研究 / イギリス:アメリカ合衆国:日本 |
研究概要 |
戸田山の日本における『ちびくろサンボ』の受容史研究から、児童文学の評価においては、「優れた」作品であることが、(児童文学として)「教えるに値する」という価値観/イデオロギーと密接に繋がっていることが示された。 渡辺の考察は、このことと関連して、児童文学においては、先行する作品から断絶することで成立する独創性(オリジナリティ)の重視が比較的希薄なこと、同時に、ある種の作品においては、児童文学のコンヴェンション/規範に積極的に依拠しようとする姿勢が見られ、それが評価されていることを調査した。 非政治的な「美学的価値」や作者の「オリジナリティ」の虚構性は、いわゆる文学研究においても(多くの論争を巻き起こしながら)既に指摘されている点である。本研究は、そのような性質が、より明示的、あからさまに承認されている場としての「児童文学」を対象とした。 個々の作品がその固有性としてもつ、オリジナルな美学的価値とは、20世紀初頭のいわゆるハイ・モダニズムの時代に、芸術としての文学という体制が確立すると共に、自明視されることになる。エレイン・ショウォールターの著作に代表されるような、歴史的なジェンダー研究は、このハイ・モダニズム体制の成立を、文学が(性的な含意を伴った)「表現」として認知される過程と同時進行し、それゆえ、このような美学の成立は、世紀転換期のジェンダー配置の転換と、密接に結び付いていることを示唆している。 三浦および川端の研究は、クィア理論以降の拡張されたセクシュアリティの理解から見るとき、児童文学のテクストとみなされるものも亦、セクシュアリティ、ジェンダーの力学から構成されており、そこでは、「児童文学」であることからむしろ積極的に、伝統、規範に依拠しようとしつつ、そのことでむしろ逆説的に、転覆的なジェンダーを描くこととなった諸作品のありようを考察した。
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