研究課題
基盤研究(C)
トマス・ハーディの長編小説について、現在までに様々な視点からの論考を加えているが、時間の進展に応じて変容する人間の、特にその内面と、その時間の進展によってすり替わり繋ぎ替わる人間関係という視点からさらに論考を加えてきた。平成15年度は、研究の継続として、長編作品研究の補完的研究として、短編小説の「良心ゆえに」を、平成16年度には「萎びた腕」を対象とし、一貫して「不釣り合いな結婚の生態-「共感の通路」を求めて-」をテーマとして論考を重ねてきた。学会発表としては、日本比較文学会関西支部記念大会において、『恋の霊』と谷崎潤一郎の『痴人の愛』を比較し口頭発表した。平成17年度には「リールのバイオリン弾き」を取り上げ、時間の問題と心理の変容、それに伴う人間と人間との繋がりの変容に焦点を当ててみた。また、日本ハーディ協会においては、『塔上のふたり』について、一貫したテーマで口頭発表した。これまでの研究経過から、時間に関わって、人間の意識が現在に生きながらも過去に支配されているという、人間存在の妙と、男と女の繋がりが、時間の問題によって、すり替わり繋ぎ替わり得ることが、次第に明瞭になってきた。これは、ハーディ研究において、さらに刺激的な知見を誘引しうるものであるとの確信を持つに至っている。平成15年度から平成17年度にかけて、古いコンピュータを更新し、主に論文作成を行いつつ、文献資料等の整理を続け、研究をまとめるために必要なデータベースとして部分的に構築化してきた。また、映像や音声などの資料とその利用法にも目を向け、文学研究を教育にどのように利用できるかも模索しながらその環境を整えようとした。さらにまた、資料収集を行うために、さらには研究の視野を広げるべく関連の研究例会に参加する等、適宜出張旅行を行った。
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言語文化研究 徳島大学総合科学部 第13巻
ページ: 1-18
110006487498
言語文化研究 徳島大学総合科学部 第12巻
ページ: 17-27
110006487488
Journal of Language and Literature (The Fuculty of Integrated Arts and Sciences The University of Tokushima) Volume XIII
Journal of Language and Literature (The Fuculty of Integrated Arts and Sciences The University of Tokushima) Volume XII
言語文化研究(徳島大学総合科学部) 第12巻
ページ: 17-28
言語文化研究 徳島大学総合科学部 第11巻
ページ: 59-68
110004684690
Journal of Language and Literature (The Fuculty of Integrated Arts and Sciences The University of Tokushima) Volume XI