研究課題
基盤研究(C)
ゲオルク・ビューヒナーの思想形成に大きな役割を果たした、ヨーロッパ思想史の二大潮流 - 一方は18世紀フランスの感覚論や唯物論、他方はフィヒテとルソーに代表される主観的観念論 - が処女作『ダントンの死』の随所で激しい葛藤を繰り広げている事情を、筆者はビューヒナーの書簡の分析や、この戯曲とフィヒテ、ルソー、フランス百科全書派の著作の比較・検討作業によって裏付けし、それを論文「ゲオルク・ビューヒナーのイデオロギー的立場」(独文)によって明らかにした。この論文はドイツのゲオルク・ビューヒナー研究所による論文審査に合格し、同研究所の機関誌「ゲオルク・ビューヒナー年鑑」第十号に採用された。ビューヒナーが遺した唯一の散文作品である『レンツ』のテクスト研究は、近年ドイツでも急速に進んでおり、ビューヒナー研究所が一昨年に刊行したビューヒナー全集第五巻の『レンツ』には、その成果が集約されている。しかしながら、『レンツ』の成立史をめぐる同研究所の解釈では、作者ビューヒナーに与えたフランス実証主義的医学研究の影響が過大に評価されており、またテクストの解読には党派的恣意性が散見する。この点を批判した筆者の論文「実証の藪を透かし見る-マールブルク版『レンツ』をどう読むか」は、日本ビューヒナー協会機関誌「子午線」第四号に発表された後、イタリアのビューヒナー研究者らを通じて、ヨーロッパのドイツ文学研究者に紹介されている。「ビューヒナー文学のテクスト生成研究」というテーマとは直接的な関係はないものの、筆者は2004年4月にアメリカ合衆国ナッシュヴィル大学で開催された「ゲオルク・ビューヒナー国際シンポジウム」に参加し、「日本におけるビューヒナー受容史」に関して報告を行った。この報告論文はドイツ・ビューヒナー研究所とナッシュヴィル大学の共編となる「ゲオルク・ビューヒナー国際シンポジウム2004年」に掲載される。
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Georg Buchner Jahrbuch (2000 - 2004) Nr.10
ページ: 83-102
Georg Buchner International Symposium 2004 Nr.1
ページ: 60-73
Georg Buchner Jahrbuch, Nr.10, Georg Buchner Institut
Georg Buchner Iternational Symposium 2004 (Vanderbilt university)
Gerog Buchner Jahrbuch (2000-2004) Nr.10
Georg Buchner Internationales Symposium 2004 Nr.1
子午線(日本ビューヒナー協会機関誌) 4号
ページ: 1-20
Meridian, Nr.4, Georg Buchner Society of Japan
子午線(日本ビューヒナー協会機関誌) 3号
ページ: 27-43
Meridian, Nr.3, Georg Buchner Society of Japan