研究課題/領域番号 |
15520212
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
各国文学・文学論
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
寺田 龍男 北海道大学, ・言語文化部, 助教授 (30197800)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 英雄叙事詩 / 軍記物語 / 口承文芸 / 文字文化 / 封建的主従関係 / コンフリクト研究 / 文献学 / 中世文学 / 比較文学 / 国際情報交換 / ドイツ:オーストリア:米国 / 不確定テクスト / 史料論 / 複数オリジナル説 |
研究概要 |
本研究は、前回の助成研究(「軍記物語の研究成果を英雄叙事詩の研究に応用する可能性について」萌芽研究・課題番号12871058)を発展させるため以下の3点を中心におこなった。 (1)ヨーロッパの叙事詩研究で従来関心が低かった、あるいは実証する史資料の不足ゆえ研究が困難な事象について日本側の成果を対照する視点を提示した。英雄叙事詩の諸作品を成立当時の社会の実相を映す鏡としてとらえる視点は従来ほとんどなかった。しかし武器・馬の描写や戦術・戦死者の遺体の取り扱いなど、当時の実社会に深く根ざした記述は少なくない。それらのもつ意義を欧米の研究者に実証的に示すための論稿を発表した。(とくに「残酷な描写は聖書に帰する」とするステレオタイプ的思考法を批判し、むしろ当時の社会の実態を反映したものであるという提起に少なからぬ反響が得られたのは収穫であった。) (2)英雄叙事詩のいくつかの作品には「成立時点で複数のオリジナルが存在した」という現在もっともアクチュアルな議論を日本文学研究者に批判的に紹介した。軍記物語の諸作品では最古の写本でも多くが「成立」からはるかに遅れて書かれており、貴族の日記など傍証は数多くあるものの、その間の書記伝承を知る手がかりが少ない。逆にヨーロッパでは「オリジナル」にかなり近い作品が残されており、成立に関する研究が近年著しく進んだため日本文学研究にも益するところがあると考られる。 (3)「封建的主従関係の破綻と回復」の研究。比較史の方法と近年のコンフリクト研究の成果に学びつつ、洋の東西で互いに影響しあうことの少なかった社会でなぜ類似の現象が起き、またそれらが文芸作品の中でテーマ化されたかを考察し、その結果の一部を発表した。このテーマはさらなる考察と具体例の収集が必要であり、これを今後の課題としたい。
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