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異人論と王権論の展開としての北欧神話と日本神話の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 15520217
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 各国文学・文学論
研究機関信州大学

研究代表者

水野 知昭  信州大, 人文学部, 教授 (30108435)

研究期間 (年度) 2003 – 2006
研究課題ステータス 完了 (2005年度)
配分額 *注記
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード生と死・没落と再生 / 運命と月の思想 / 円環詩法 / 異人来訪 / 祭司王・戦士・平和(富・愛) / 戦士の三つの罪 / 川を渡る勇者の求愛パターン / 王と賢者・異人的な勇者 / 古ゲルマンの常世郷 / 太陽舟と太陽馬車 / 神聖なる戦闘 / 異人による竜蛇退治 / 海に葬送される王者 / 「流され王」 / 海と魂
研究概要

エッダ詩の代表作品「巫女の予言」について、生と死および運命を司る,月の古代思想を探った。古ノルド語veroldや古英語woroldその他のゲルマン諸語の同系語は、みなそれぞれ「人間」(古ノルド語verr)と「時代、生涯、世代」(old)から成る複合語であり、単に空間概念としての「世界」(英語world、ドイツ語Welt)を意味するばかりか、「人がある時代を生き、老いて死にゆきながらも次々と世代が生まれ代る領域」をさし、時間概念をも包括していた。生と死、創造と破壊、没落と再生のテーマが脈打っている本詩の根底には、古ゲルマン的な運命観と月の信仰が潜んでいる。別稿にて、同作品が円環詩法の原理に基づき、対応する表現要素が幾つもの同心円を描きつつ、中核の主題を取り巻く構成になっていることを実証した。「異人来訪」という根本テーマがその円環を貫通し、直線的な連鎖となって語りの進展を支配している。印欧神話の三機能体系に対応する「三つの罪を犯す戦士」というG.デュメジルの図式を適用すれば、イェーアト王国(5-6世紀)の戦士ベーオウルフも三つの罪を犯していることが分かるが(水野1999)、王権・戦士・平和(または愛)に係わる三つの罪は、実はこの勇者が討ち果たした三種の水界の怪物たちの所作と特性のなかに反映されていた。また「異人的な勇者」に武器を供与し、殺害を教唆する「賢者たち」の群像に探りを入れた。後者は例えば、王の顧問官ウンフェルス、または最高神オージンの「友」ロキ等であり、王権ないしは神権を維持するための知恵と予言ひいては謀略をも司っている。そしてギリシア・北欧・日本の神話に共通する、「川を渡る神々と勇者たち」の特性を究明した。川の徒渉は一種の「異人の禊ぎ」であり、その後に「求愛」の行動が続くが、その愛の成就を阻む宿敵は必ず血祭り(犠牲または追放)にあげられている。また、ノアの洪水説話を皮切りに、ギリシア・北欧・日本の神話において、洪水の終わりに出現する鴉(烏)の関連モチーフを追究し、うつぼ舟漂流譚と「異人来訪」のテーマを抉出した。

報告書

(2件)
  • 2004 実績報告書
  • 2003 実績報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2005 2004 その他

すべて 雑誌論文 (6件) 文献書誌 (6件)

  • [雑誌論文] 洪水と漂流の終わりにカラスが2005

    • 著者名/発表者名
      水野知昭
    • 雑誌名

      世界の洪水神話-海に浮かぶ文明-(篠田知和基・丸山顯徳(編))(勉誠出版)

      ページ: 197-219

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [雑誌論文] 異界の川を渡る神々と勇者たち-オデュッセウス、ヘラクレス、ソール、およびスサノヲと大国主の場合-2005

    • 著者名/発表者名
      水野知昭
    • 雑誌名

      海洋神話の比較研究(広島市立大学:科学研究費研究報告書No.13301015)(篠田知和基(編))

      ページ: 109-120

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [雑誌論文] 「巫女の予言」にみる円環詩法と異人来訪のテーマ2005

    • 著者名/発表者名
      水野知昭
    • 雑誌名

      信州豊南短期大学紀要 22号

      ページ: 71-126

    • NAID

      120005295127

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [雑誌論文] 「巫女の予言」にみる運命と月の思想2004

    • 著者名/発表者名
      水野知昭
    • 雑誌名

      生と死の神話(松村一晃(編))(リトン社)

      ページ: 271-304

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [雑誌論文] 水界の怪物たちに投影された戦士ベーオウルフの三つの罪: The Three Sins of Beowulf Mirrored in the Water-Monsters(英訳版)2004

    • 著者名/発表者名
      水野知昭
    • 雑誌名

      海の神話-神々と怪物(比較神話学シンポジウム論集)(篠田知和基(編))

      ページ: 108-129

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [雑誌論文] 殺しの武器を供与する賢者たちの群像2004

    • 著者名/発表者名
      水野知昭
    • 雑誌名

      アジア遊学(勉誠出版) 68号

      ページ: 93-106

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [文献書誌] 水野知昭: "「ヴォルンドの歌」にみる円環詩法"信州豊南短期大学紀要. 20号. 67-107 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 水野知昭: "不死鳥の歌なんか聞こえない-海のかなたの楽園と古ゲルマンの選民思想-"人文科学論集・文化コミュニケーション学科編(信州大学人文学部). 37号. 39-66 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 水野知昭: "古北欧の太陽舟と太陽馬車の信仰"太陽神の研究 下巻(松村一男・渡辺和子(編))(リトン社). 247-282 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 水野知昭: "Ring Composition and Circular Narrative Structure in Eddic Poems"Scandinavia and Christian Europe (Univ.Bonn). 382-392 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 水野知昭: "異人による聖戦としての竜蛇退治-力の勇者ベーオウルフとソールを中心に-"アジア遊学(勉誠出版). 59号. 26-36 (2004)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 水野知昭: "漕ぎ手なき舟にて漂うて-海に葬送される王者たち-"人文科学論集・文化コミュニケーション学科編(信州大学人文学部). 38号. 57-85 (2004)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書

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公開日: 2003-04-01   更新日: 2016-04-21  

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