研究課題/領域番号 |
15520256
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
言語学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
栗林 裕 岡山大学, 文学部, 助教授 (30243447)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 言語学 / 外国語(中・英・独・仏除く) / トルコ語 / アゼルバイジャン語 / イラン / 形態論 / 統語論 / 言語類型論 / チュルク語 / 言語接触 / ペルシア語 / タブリーズ / オグズグループ / トルコ |
研究概要 |
本研究の主要な目的は近年、言語調査が行われていないイラン・アゼルバイジャン語の現状を明らかにすることである。筆者が平成15年8月に実施したイランのタブリーズにおけるアゼルバイジャン語の現地調査では、イラン南部のカシュカイ族のカシュカイ語よりも言語の保存状態はかなり良好であるということがわかった。カシュカイ族の言語使用は家庭内に限られるのに対し、タブリーズのアゼルバイジャン語使用は家庭内のみならず、地域社会で広く使われており、ペルシア語よりも浸透している様子がわかった。しかし、同時にトルコからの衛星放送等のマスメディアの影響や留学や商業活動などの人の行き来により若年層では急速にトルコ共和国のトルコ語化が進んでいる。これに対して、カシュカイ語はペルシア語からの語彙的・文法的影響を相当程度に受けており、統語法にも顕著な変容として現れている。もちろん、アゼルバイジャン語の統語法もペルシア語からの影響は少なくないのであるが、両言語間における変容の差は相当程度の隔たりがある。 本研究の特徴は記述的な貢献と理論的な貢献の二点に大きく分けることができる。記述的な点からは変容しつつある音韻および統語法を記述することで文法理論や言語接触による相互影響を考える上での基礎資料を提供した。理論的な点からはチュルク系諸言語の統語法を比較する上で、共通になる基準を構築するための試みを論じた。複合語という特定の文法構造に焦点をあてて、文法化との関係を考察していくことは新しい視点を提供することになる。複合語は心理言語学的な実験からも大きた関心が向けられており、今後も関連学問領域と連携しつつ、新たなアプローチで言語の分析が進むことが望まれる。
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