研究課題/領域番号 |
15520274
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
言語学
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研究機関 | 大阪樟蔭女子大学 |
研究代表者 |
中田 節子 (有田 節子) 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (70263994)
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研究分担者 |
中田 一志 大阪外国語大学, 日本語・日本文化教育センター, 助教授 (90252741)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 推論過程 / 論理文 / 条件文 / 過程重視 / 対照意味論 / 規定性 / 話し手の知識 / 終助詞 / 既定性 / 推論 / 意味論 / 文法 / 提題 / どうせ / 因果関係 / 推論事象 / (レ)バ / タラ / ナラ / ト |
研究概要 |
この研究は、因果関係を表す構文について、日本語と英語のような西欧語との意味論的統語論的類似性と相違性を明らかにすることを目指している。特に、条件文に焦点をおいて研究を行った。なぜなら、条件文は、どの言語においても、その言語の構造的特徴を反映した特異な現象を示すからである。多くの条件文に関する意味論的研究は、西欧語の統語的特性に根ざした研究である。そこでは、realisとirrealisの問の対立が文法の中に表されている。それゆえ、反事実的条件文の扱いが長く議論されてきた。それに対し、日本語には、条件節あるいは帰結節の命題が偽であること、すなわち、反事実性の明示的なマーカーはない。 この研究をとおして、われわれは、日本語の条件文のきわめて重要な特性を明らかにした。そのうち、二点をとりあげる。一つめは、日本語では、条件節命題の真偽が定まっている(settled)であることを文法的にマークする。西欧語のように、命題の偽あるいは命題成立に関する高い仮定性を文法的にマークすることはない。二つめは、日本語では、話し手が、条件節命題の真偽を知らないことを文法的にマークする。西欧語のように、条件節命題の偽を話し手が知っていることを文法的にマークするのではない。われわれは、このような日本語条件文の意味論的特性をKratzer流の様相意味論の枠組みで説明することを提案した。残された問題もあるが、目指したことの多くを達成できたと考えている。 以下に研究成果の公表のための活動を要約する。 1 平成17年に、成果の一部を国際学会等で発表した。特に、有田は、京都大学で開催された国際ウークショップ「Language under Uncertainty : Modals, Evidentials, and Conditionals」で口頭発表を行った。また、平成18年に、ロンドン大学SOASで開催された、国際ワークショップ「Revisiting Japanese Modality」で口頭発表を行った。 2 平成18年には、成果の一部が出版された。特に、有田は、様相意味論の枠組みを援用した英語と日本語の条件文の対照的研究が、『条件表現の対照』(益岡隆志編、くろしお出版)の一つの章して公表した。また、有田は、日本語条件文の時制とモダリティに関する研究を単著『日本語条件文と時制節性』として出版した。
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