研究課題/領域番号 |
15520315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英語学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岩田 彩志 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50232682)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 所格交替 / 項構造 / 語彙・構文論的アプローチ / 交替現象 / 使用依拠モデル / 構文理論 |
研究概要 |
Pinker(1989)は、所格交替(locative alternation)において2つの形式(spray paint onto the wall/spray the wall with paint)が、それぞれ位置変化と状態変化を表す、と分析した。この考え方はそれ以降の殆どの研究において受け入れられている。確かにlocatumが目的語に生じる形式では位置変化を表しているというのは妥当であるように思われるが、locationが目的語に生じる形式が状態変化を表すという考えには実は問題がある。(1)典型的な状態変化動詞とされるbreak等と区別がつかなくなってレまう。(2)所格交替の例とされるものの中には、明らかに状態変化の鋳型に収まらないものが存在する。更に(3)交替現象が純粋に動詞だけの問題とされているが、実はそうでない。 本研究では、基本的にはGoldberg(1995)流の構文理論の立場を取りながらも、より個々の動詞を細かく分析することにより妥当な記述・説明が可能になるとの立場を取り、使用依拠モデル(usage-based model)の考え方を取り入れた語彙・構文論的アプローチにより所格交替を分析している.。この分析では、抽象的レベルの構文でなくもっと具体的な動詞固有レベルの構文を認めることにより、所格交替に首尾一貫した説明が可能になる。2つの形式はそれぞれputクラス構文とcoverクラスもしくはfillクラス構文により認可され、breakのような状態変化動詞とは区別される。また状態変化の鋳型に収まらない例は、実はcoverクラスでなくwipeクラスにより認可されている。さらに使用依拠モデルでは動詞の意味特性から統語構造が投射されると考えないので、動詞を偏重する必要もない。日本語の所格交替も基本的に英語と同じように説明できる。
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