研究課題
基盤研究(C)
(1)〜(3)の調査に基づき、論文4本(投稿中含む)と学会口頭発表5本にまとめ、(1)〜(5)の研究成果を明らかにすることができた。(1)韓国人学習者の破裂音の発話・知覚縦断調査(2003年7月〜2004年2月)、(2)天津外国語大学、上海外国語大学、韓国の慶煕大学校における合成音声を使った破裂音の範疇知覚に関する言語間調査(2004年2月〜3月)、(3)慶煕大学校(2004年9月)、上海市同済大学(2005年1月)における破裂音とアクセントに関する調査を行なった。(1)東アジアの日本語学習者は共通して破裂音の習得が困難である。生成と知覚の両面からの研究が少ない韓国人学習者(ソウル方言)は、生成では日本語の有声破裂音と韓国語の語頭の平音(lax)を同一音として捉えて発音していることに大きな問題があり、知覚では日本語の語頭の無声破裂音を母語の濃音(forced)に近づけて聞くことに大きな混同の要因があるとする習得のメカニズムが解明できた。(2)北京語と上海語、韓国語話者の破裂音習得を音響音声学的に分析した結果、生成と知覚ともに上海語話者の習得が早く北京語話者の習得が最も困難であった。知覚では、北京語・上海語話者は語中の無声破裂音を有声破裂音に、韓国語話者は語頭の無声破裂音を有声破裂音に誤聴した。発話では3方言話者ともに語頭の有声破裂音が難しく、母語に有声破裂音が存在する上海語・韓国語話者も、上海語話者は母語の無声無気音で、韓国語話者は母語の平音(語頭)で発音していた。(3)韓国人学習者は、破裂音習得はアクセントにも母語干渉があり、基本周波数で調べた結果、語頭に無声破裂音を含む語は頭高型に、有声破裂音を含む語は第1拍目が低く第2拍目に上昇する起伏型で発音する傾向があった。(4)北京・上海・韓国語学習者の日本語破裂音の範疇知覚について、VOTの異なる合成音声を作成して調べた結果、語頭では北京・上海語学習者、語中では韓国語学習者の範疇知覚が、日本語母語話者と一致し、言語間で範疇知覚が異なっていた。(5)破裂音習得における中間言語(interlange)構築過程について、母語干渉(interference)と近似化(approximation)など習得シラバス(developmental processes)を通して見た結果、Mayor(1987)の第2言語習得モデル「The Ontogeny Model」に全て応用できない点を示し、中間言語理論に貢献できた。
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