研究課題/領域番号 |
15520346
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外国語教育
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
渡部 良典 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (20167183)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 目標準拠評価 / 絶対評価 / 評価規準・評価基準 / 動機付け / 教育評価 / 英語教育 / 面接調査 / 授業観察 |
研究概要 |
事前準備として以下の調査を行った。(1)目標基準準拠評価(以下「絶対評価」)について指導要領は具体的にどのような「効果」を狙っているのかを調査した。(2)絶対評価についてどのような意見があるのか、新聞、雑誌などを調べてまとめた。(3)国内外の文献を調べ、これまでに絶対評価の動機付け効果に関する調査が行われているかどうか、行われているとすればどのような結果が得られているかを調査した。さらに、予備調査として、(4)中学・高校教員が絶対評価をどの程度正確に理解しているかを面接・アンケート調査した。これまでの結果、絶対評価については、特に中学校において綿密な計画のもとに実施され、ある程度動機付けの効果を上げていることがわかった。しかしながら、基準・規準の設定があまりに綿密であるがために、実際に使えないなどの問題も観察された。また、高校においては学校間の格差が大きいなどの理由から、あらゆる高校に適用できる基準・規準の設定が難しく、現場に混乱を招いているなどの問題もある。したがって、生徒を動機付ける以前の段階でとまってしまっているという現状もある。すなわち、「相対評価」、「絶対評価」、「目標準拠評価」、「集団準拠評価」などの区別について必ずしも正確な知識が行き渡っていないこと、学年開始時までに目標項目を作成しリストしてあるものの実際にはそれを基準・規準として使うには抽象的にすぎ、効果的に運用されていないことがわかった。いわゆる相対評価に比べ、絶対評価の方が生徒を動機付ける効果が高いという考え方が多くの教員の間に行われているものの、基準・規準を基にして生徒にテストの事後指導を行うというところまでは至ってないようである。 上記の結果に基づき、生徒が評価をどのようにとらえているかを確認し、評価によって動機付けられているかどうかを調査した。アンケートおよび面接を行い、中学生、高校生が評価について何か気づいた点はあるかどうか、どのような印象をもっているかを確認した。質問項目は、「テストや評価に関するできごと」と「それに応じた具体的なやる気の表れ」、「『相対評価・絶対評価』について知っていることを記す」、以上である。さらに授業観察もあわせて行った。定性的分析の結果、生徒はほとんど評価方法について知らないこと、目標準拠評価の診断的機能はほとんど機能しておらず、生徒は得点、とくに特定の集団の平均点を基準に自分の能力(到達度ではない)を判断していることがわかった。 結論として、単に目標準拠評価を導入するだけでは動機付け効果は上がらないこと、絶対的な基準を使うにしても、平均レベル(典型的な到達レベル)が明示されていてそれが生徒に具体的なイメージとして伝えられていなければならないこと、などがわかった。また、目標基準・規準は一度作ればよいというものではなく、生徒の到達度にあわせて絶えず改訂して、より具体的な内容にしてゆくことも重要である。 データ分析はまだ途中であり、結果も主観的な傾向があることは否めない。本調査の最中に中国・韓国の生徒の英語能力、自己評価に関するデータを収集・分析する機会に恵まれた。現在、さらに分析を進め、より広い視野から教員、生徒、授業、テストを結びつけ、評価と外国語学習動機のモデル化を行っているところである。
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