研究課題
基盤研究(C)
平成15年度〜平成17年度の3年簡にわたって交付を受けた「科学研究費補助金」によって「16世紀イエズス会インド管区の経済構造に関する研究」を遂行した。本研究成果の概要は以下の通りである。イエズス会インド管区の基本的な経済構造は、ポルトガル国王給付金、インド大陸の土地を中心とした不動産、各種の貿易行為を主要な財源とし、またこうした経済体制を職制の面から補助する役職としてプロクラドールという財務会計担当の司祭がリスボン、マドリード、ゴア、長崎などに配備されて重要な役割を果たした。イエズス会では修練院と並んで司祭養成機関であるコレジオが定期的収入の獲得と保有が認められていた。インド管区ではゴア、バサイン、サルセッテ、コチン、マラッカ、日本の6地域にコレジオが開設され、マラッカを除く他のコレジオは当該地域の主要な集金機関として機能し、イエズス会インド管区の財政面の一翼を担っていた。イエズス会インド管区では、上記コレジオが所在する地域が主要布教地として機能していた。しかし布教地規模が大きさと比例して経費と負債も嵩み、教団の財政を圧迫した。また主要布教地周辺の諸他の布教地に対してはコレジオ収入の一部を分配するなど、特にインド大陸では布教地間において教会地域経済網とも称すべき放射線状の経済網が形成され、インド管区の経済構造を支えていた。以上が当該研究期間における研究成果の概要である。イエズス会インド管区の経済構造の解明は教会史のみならず日本や東南アジア、南アジア等の歴史と深く連動する性質を持つものである。引き続き史料を分析し、特に教会地域経済史の研究を続行してゆくつもりである。
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基督教学(北海道基督教学会) 第41号
ページ: 24-27
120003089603
STUSIUM CHRISTIANITATIS The Hokkaido Society of Christian Studies, 2006 vol.41
基督教学(北海道基督教学会) 第40号
ページ: 25-27
STUDIUM CHRISTIANITATIS, The Hokkaido Society of Christian Studies vol.40
40007261743
基督教学(北海道基督教学会編) 40