研究課題/領域番号 |
15520430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
遠藤 隆俊 高知大学, 教育学部, 教授 (00261561)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 族譜 / 書簡 / 筆記史料 / 宋代 / 宗族 / 地域社会 / 范氏義荘 / 過庭録 / 移住 / 范氏 / 規範 / 秩序 / 財産 / 家 / 房 / 螺旋構造 / 寄居 / 国際アジア北アフリカ研究者会議 / 国際アジア歴史学家学会 / 蘇州 / モデル |
研究概要 |
本研究は、族譜および書簡、筆記史料を用いて、中国宋代の宗族と地域社会の関係を動態的に明らかにすることを目的とした。その結果、本研究では次の3点が明らかになった。1つは宋代宗族の歴史的な位置づけであり、2つめはその宗族の社会的な役割、3つめは秩序規範としての宗族という点である。第1の歴史的な位置づけについて、宋元時代は宗族モデルの萌芽形成期であり、明代前半期の挫折停滞期をはさんで、明末清代の復興発展期、清末近代は爛熟衰退期と位置づけられる。第2の社会的な役割について、宗族はいわゆる「家」の範疇に属し、宋以後の士大夫たちは「家」の存続を目的として、宗族を維持した。その背景には身分の固定した社会から、より流動的な社会への転換があった。第3の秩序規範については、宗族は日常生活の規範であり、社会関係を規定する重要な尺度であった。とくに喪服の制度は螺旋的な構造を持っており、人々の生活や人間関係を規定した。 史料面については、蘇州范氏の族譜である『范氏家乗』や范仲淹の書簡である「文正公家書」、范氏家族の記録である范公しょう『過庭録』、そのほか「范氏義荘規矩」『范文正公集』を用い、社会文化史的な史料の有効性について大きな知見を得ることができた。ただし、この中には伝聞や記憶に頼る記事、あるいはほかに出典のある二次的な史料も含まれる。とくに族譜は明清時代の篇産物なので、これを宋元時代の史料に使う場合には、慎重な考証を必要とする。『范氏家乗』は比較的事実に基づいて編纂されているが、それでも作為のあとがないわけではない。以上、族譜をはじめとする社会文化史的な史料を使う際には、文献学的な調査を行う必要がある。
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