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他者としてのビザンツ人-同時代人の心象世界の中のビザンツ像-

研究課題

研究課題/領域番号 15520446
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 西洋史
研究機関金沢大学

研究代表者

根津 由喜夫  金沢大学, 文学部, 助教授 (50202247)

研究期間 (年度) 2003 – 2005
研究課題ステータス 完了 (2005年度)
配分額 *注記
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
キーワードビザンツ / コンスタンティノープル / 中世フランス / 十字軍
研究概要

今回の研究では、文学作品の中で描き出された、いわば空想の中のビザンツ帝国像を検証することで、同時代の西欧人の心の中で、ビザンツ帝国のイメージがどのように増幅、デフォルメされていったのかを明らかにしたいと考えた。具体的には以下の二つの文学作品を対象に考察を行った。最初に検討を加えたのは、クレチアン・ド・トロワ作の『クリジェス』である。考察の結果、主人公のクリジェスが好意的に描かれているのは、彼が西欧の価値観を受け入れ、西欧の優位性を認めている限りにおいてのことであったこと、そして真に主導権を握っていたのは西欧から輿入れしてきた皇妃の方であり、そこには道徳的に劣った東方を理性に優れる西方が指導し、正しい方向に導いてやるのだという西欧側のイデオロギーが色濃く反映されていたことが確認された。次にゴーティエ・ダラス作『エラクル』を第2の分析対象として取り上げ、そこから読み取れる中世フランス人のビザンツ観の析出を試みた。この作品は、7世紀前半のビザンツ皇帝ヘラクレイオスをモデルに、彼のペルシア遠征と真の十字架奪還の偉業から想を得た物語であるが、史実はかなり自由に改変されている。作者はここで、その多くが東方起源と思われる多くの説話や伝承を集め、それらをパッチワークのように巧みに繋ぎあわせることで、ひとりの英傑の人生絵巻を紡ぎ出しているのである。作者は一連の創作の結果、西欧出身の皇帝による東方の帝国の救済、という西欧人にとっては誠に都合のよい筋立てを成立させることになる。ここにも、自己の正義を疑わず、自分たちの支配権の拡大が世界を救うと素直に信じて込んでいた当時の西欧人の自己中心的な純朴さが確認されるであろう。

報告書

(4件)
  • 2005 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 2004 実績報告書
  • 2003 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] ローマ生まれの救世主-ゴーティエ・ダラス『エラクル』を読む-2006

    • 著者名/発表者名
      根津 由喜夫
    • 雑誌名

      金沢大学文学部論集 史学・考古学・地理学篇 26

      ページ: 19-50

    • NAID

      110004812252

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2005 実績報告書 2005 研究成果報告書概要
  • [雑誌論文] A Saviour from Rome : A Study of Gautier d'Arras' Eracle2006

    • 著者名/発表者名
      Nezu, Yukio
    • 雑誌名

      Study and Essays : History・Archaeology・Geography 26

      ページ: 19-50

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2005 研究成果報告書概要
  • [雑誌論文] The Revolt of Isaakios Komnenos : Reconsideration2006

    • 著者名/発表者名
      根津 由喜夫
    • 雑誌名

      Orient 41

      ページ: 41-60

    • NAID

      130004651267

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書
  • [雑誌論文] アーサー王宮廷のビザンツ騎士2005

    • 著者名/発表者名
      根津 由喜夫
    • 雑誌名

      金沢大学文学部論集 史学・考古学・地理学篇 25

      ページ: 1-38

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2005 研究成果報告書概要 2004 実績報告書
  • [雑誌論文] Knights from Byzantium in the Court of King Arthur2005

    • 著者名/発表者名
      Nezu, Yukio
    • 雑誌名

      Study and Essays : History・Archaeology・Geography 25

      ページ: 1-35

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2005 研究成果報告書概要

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公開日: 2003-04-01   更新日: 2016-04-21  

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