研究課題/領域番号 |
15520455
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
指 昭博 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (90196197)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | イギリス / カトリック / 殉教者の書 / プロテスタンティズム / アイデンティティ / フォックス / 煉獄 / 国王紋章 / 修道院解散 / 廃墟 / 近世イギリス / 挿し絵 |
研究概要 |
本研究では、近世イングランドにおけるカトリック教徒の実態と「反カトリック」感情に代表されるようなイメージとしてのカトリック教徒の乖離を、主にジョン・フォックスの『殉教者の書』の受容の変化を手がかりに考察し、従来自明のこととされてきた「プロテスタント国家イギリス」の宗教的なアイデンティティの内実を明らかにしようとした。すなわち、近代イギリス史を捉える枠組みとして主要な関心を向けられてきた宗教(プロテスタンティズム)と近代化の関係について、これまでは国教会なり非国教徒なりの神学に求められていたイギリス近代の特質を、むしろ、反カトリック言説の中に確認することを目指した。 実態としてのカトリック教徒は、宗教改革の始まりから社会の中に不十分ながらも一定の居場所を得ていたし、18世紀には社会情勢や政治情勢の変化に伴い、カトリック解放への歩みが始まることになる。しかし、それと反比例する形で、18世紀に繰り返し刊行された『殉教者の書』のような反カトリック・プロパガンダが強まっていった。この一見矛盾した流れは、後者の動きが、従来指摘されていたようなプロテスタント・アイデンティティの確立の過程ではなく、むしろカトリック解放へ向かう寛容の流れへに対する一部のプロテスタントによる危機感の表明にすぎなかったことが確認できた。また、それは16世紀の社会を前提として書かれたフォックスの著作が、18世紀の文脈で改変され、本来の教会史としての骨格をも換骨奪胎されていく過程でもあった。
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