研究課題/領域番号 |
15520468
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
田中 きく代 関西学院大学, 文学部, 教授 (80207084)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 救貧 / 里親制度 / 孤児労働 / ナショナリズム / 人口移動 / 児童援助協会 / 児童福祉 / C・L・プレイス / C・L・ブレイス / 孤児列車 / アメリカン・ナショナリズム / 慈善 / 貧困問題 / 子ども労働力 / 農村家庭への委託 / チャールズ・L・ブレイス / プレイシング・アウト / 農村委託 |
研究概要 |
ジャクソニアン期に入ると、社会改革運動をめざす多くの連帯が生まれた。こうした連帯活動は、老若男女を問わず、身近な集会から連邦レベルの運動まで、多岐にわたるものであったが、そうした社会改革運動の矛先は、東部の都市部では貧困の撲滅に向けられ、特に路上にたむろする貧窮児童は、目に見える深刻な存在と受け止められた。子どもを救済する施設も創設されたが、子どもは施設収容では救済されないという人々が現れた。特に、1850年代になると、子どもを施設から解き放つべきだとする声が大きくなり始めたが、その児童救済を指導し、全国的に模範とされたのが、本研究の主体であるチャールズ・L・プレイスと彼の創設したニューヨーク児童援助協会である。この事業は孤児列車と呼ばれるが、ニューヨーク児童援助協会のネットワークによって西部に委託された子どもの数は、彼らが孤児列車を実施した約80年の間に、ニューヨークから出発したものだけでも、約20万人に上る。 本研究では、児童救済、特に孤児列車を救済することで、19世紀のアメリカン・ナショナリズムを検証したが、東部におけるアメリカ的な慈善観や家族観を西部に移植し、孤児を通してアメリカン・ナショナリズムの一体化を試みたものであった。具体的には、「孤児列車」を通して、19世紀ナショナリズムが表出した諸相を検証したが、極めて多岐にわたるものとなった。その理由は、「孤児列車」が時代の縮図であり、多面的複層的なものであるからである。例えば、孤児列車は、社会福祉前史研究であり、子どもの歴史、あるいは子ども観の歴史であり、家族の歴史である。また、女性の歴史でもあり、移民史・民族関係史の一こまでもある。さらに、東部あるいは西部の都市政策史であり、東部、西部を問わず、コミュニティの歴史であり、支援した人々の社会的ネットワークの歴史でもある。また、なによりも子どもの労働移動の歴史であったからである。 本研究では、こうした多岐にわたる諸相で、子どもの位置づけ、福祉の意味、連帯や社会的ネットワークの分析をし、アメリカン・ナショナリズムと広義の意味での土地イデオロギーと土地所有の問題があることを見出した。
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