研究課題
基盤研究(C)
東北大学使用痕研究チームが従来蓄積してきた、条件統制された使用実験による石器使用痕資料を再検討し、実験記録のデータベース化を進めた。頁岩、黒曜石、チャート、フリントなどの、合計661事例に及ぶ、複製石器による実験資料を整理した。個別収納し詳細実験記録と常時照合できるようになつた。使用痕光沢の一部について、デジタル画像化を行った。これらにより、石器使用痕分析の判定基準について、標準化をすすめる基盤ができたと考える。使用痕研究分野の全国連絡組織である「石器使用痕研究会」との連携を、各年度にわたり継続して行った。同会の共同研究である石器使用実験プログラムに参画し、微小剥離痕、線状痕、摩耗光沢の各カテゴリーについて、研究者間で観察、記録、判定基準を共通化する研究が実質的に進んだ。今後、同会の共同研究と、今回補助金で整備した東北大学チームによる結果との、相互対比を進める段階になった。ビンフォードの理論である「技術的組織論」について、石器分析に関して方法論的に検討した。遺跡構造論分析と石器の機能研究が連動することを比較文化論的に論じた。また技術的組織概念は、使用痕分析で明らかになる旧石器各型式の機能における、遺跡間変異と器種内多様性の理解に有効であることが確認された。後期旧石器時代後半の細石刃文化期について事例研究を深めた。後期旧石器時代前半、台形石器の時期の事例研究を行った。関連して岩手県奥州市胆沢区上萩森遺跡西地点の試掘調査を実施したが、遺跡主要部は既に削平を受けたと推定され旧石器は出土しなかった。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (6件)
考古学ジャーナル 560号(印刷中)
土と遺跡・時間と空間(多摩川流域の考古学的遺跡の成立と古環境,復元研究会)
ページ: 34-35
The Archaeological Journal no.560(in press)
40015542133
Soil and site, time and space, no.volume no.