研究課題
基盤研究(C)
本研究では、ヨーロッパに大坂出土のマジョリカ陶器持参で赴き、マジョリカ陶器窯跡出土品を含む、イタリア・フランス・ベルギー・オランダの出土品・伝世品を観察し、実物どうしの比較を行い、本品および日本出土のマジョリカの産地を探った。結果、日本のマジョリカ陶器foglie文アルバレルロ形壺の産地特定には至らなかったものの、foglie文アルバレルロ発祥地であるイタリアの陶工の影響が、フランドル地方を含む16・17世紀のオランダに及んでいて、foglie文も含め、イタリア・マジョリカ陶器の装飾文様の変化がほとんど時期差なくフランス・ベルギー・オランダのマジョリカ製作に反映され、流通していたことがわかった。これは陶工の移動・移住が大きく関与したものとみられる。しかしオランダではFoglie文の製作地は見つからなかった。胎土の調整は、陶工の出自による差が出る可能性が極めて高く、大坂出土品がイタリア・トスカーナ地方のマジョリカと同様に胎土のカルシウム分が多いことから、イタリア陶工の移住先での製作の可能性が高く、マジョリカ陶器の胎土成分の、アントワープとリヨンの可能性がさらに高くなった。そして、同一手法・条件による分析が非常に有効な手段であることが再認識された。また、日本のマジョリカに描かれた他の文様は16世紀末のオランダに類する文様があり、日本へのマジョリカの輸入は17世紀になってからと推定されるに至った。もともとマジョリカ・アルバレルロは薬草保存の壺で、各窯から特定の教会付属の病院や薬局に供給され、この状況がそのままイタリアから欧州各地に広まった。アントワープはオランダ独立後もスペイン領で、カトリック主導の地域であるが、プロテスタント主導のオランダ東インド会社がfoglie文アルバレルロをどのように入手したのかが今後の課題である。
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東アジア考古学辞典(東京堂出版)(西谷正監修) (頁未定)
An Archaeological Investigation on Japan-Europe Trades in the National Isolation Age in Japan -Majolica albarelli, derived from the Renaissance majolica, excavated in Osaka- (Takada Printing Co. Ltd., Osaka)
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East Asia Archaeological Dictionary (Tokyodo Publishing Co. Ltd., Tokyo)
World Archaeological Congress Inter-congress Osaka 2006
ページ: 48-48
Newsletter de l'Osaka Businessman Club "Bon Vivant Osaka 2005"(大阪市パリ事務所『ボン・ヴィヴァン・大阪2005』) 2005年号
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World Archaeological Congress Inter-congress Osaka 2006 (Osaka)
Newsletter de l'Osaka Businessman Club "Bon Vivant Osaka 2005" (Paris)
Newsletter de l'Osaka Businessman Club "Bon Vivant Osaka 2005" (大阪市バリ事務所『ボン・ヴィヴァン・大阪 2005』) 2005年号
ボンヴィヴァン大阪2005
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World Archaeological Congress Inter-Congress : Osaka, 2006