研究概要 |
本研究は、古墳出現期に吉備形、讃岐形、東阿波形、河内庄内形、大和庄内形などと呼ばれる特定の胎土と型式学的な特徴を備えた土器群の生産と流通に焦点をあてて、その生産の消長、製作の中心、および流通の範囲と規模(流通量)などを探ろうとするものである。また、それぞれの土器群と他の在地製作の土器とめ関係を総合的に整理し、各地域の様式構造全体を理解することも目的としている。 研究の手続として、(1)各土器群に関する研究の現状の把握と整理、(2)資料実態の把握、(3)製作地にかかわる胎土分析結果の文献集成、(4)実地調査、を基礎的な作業として実施した。(1)については、平成15年度に『畿内古式土師器研究文献目録(稿)』としてその一部をとりまとめた。 成果報告書では、吉備形甕の分布から西日本における当該期の交通,流通のありかたについて検討した成果をとりまとめた。176遺跡603点の資料をもとに、地形図上で出土遺跡および出土量を検討し、交通路の推定、出土数の偏在性から核となる遺跡のありかた、移動の方向性などを考察した。その結果、古墳出現期研究の主要な課題である、北部九州から瀬戸内海、大阪湾をへて大和へいたる交通路の実態と、その結節点となる主要な遺跡の分布を確認し、畿内での分布状況から古墳出現期の地域構造についても言及した。
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