研究課題/領域番号 |
15520533
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
笹原 亮二 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 助教授 (90290923)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 民族芸能 / 奄美 / 南九州 / ヤマト / 沖縄 / 琉球 / 異文化 / 境界 / 民俗学 / 民俗芸能 / 異文化表象 / 琉球人踊 / 奄美諸島 / 風流 / 獅子舞 |
研究概要 |
南九州から薩南諸島・吐喝喇列島を経て奄美諸島に至る地域には、数多くの民俗芸能が伝わっている。それらの中には、この地域が沖縄とヤマト(沖縄・奄美以外の日本)の境界領域に位置し、双方から政治的・社会的・文化的な影響を歴史的に様々なかたちで蒙ってきたことと呼応して、沖縄あるいはヤマトとの関係が様々なかたちで認められる、琉球系及びヤマト系の民俗芸能が少なからず存在している。 従来、この地域の民俗文化については、吐喝喇列島と奄美大島の間にヤマトと沖縄・奄美を分かつ境界があり、奄美大島以南では与論島と沖縄本島の間に沖縄と奄美を分かつ境界があり、奄美諸島内においても他の2つ程明確ではないが、徳之島と沖永良部島の問にも境界があって、大きく3領域に分かれることが指摘されてきた。この地域の琉球系・ヤマト系両系統の民俗芸能も、南九州から吐喝喇列島までは、ヤマト的な芸能をベースに、沖縄的な趣向や特徴が異国・異人的なイメージとして現地の人々によって意識的に演じられている琉球系の芸能が見られ、奄美大島・喜界島・徳之島では、沖縄的・ヤマト3的それぞれの趣向や特徴が現地の人々によって意識的・無意識的に演じられている両系統の芸能の混在.が見られ、沖永良部島以南では、全般的には琉球系の芸能が優越する中で、ヤマト的な趣向や特徴が異国・異人的なイメージとして現地の人々によって意識的に演じられるヤマト系の芸能が見られるというように、ほぼ3領域の区分に沿ったかたちで整理することも可能である。 しかし、各領域内を見ると、吐喝喇列島以北では、同じ琉球系芸能でも南九州に比べて薩南諸島は沖縄的な特徴や趣向が異国・異文化イメージとして過剰に演出されていたり、奄美大島・喜界島・徳之島では、奄美大島で見られないヤマト的な特徴やイメージの表出が、喜界島・徳之島それぞれ別のかたちで見られたりというように、より狭い地域や個々の島々の問で民俗芸能のあり方に類型的かつ明確な違いが存在していた。このことは、この地域の民俗文化の理解においては、従来の3区分に基づく境界論では必ずしも十分ではなく、外界との交流と域内での滞留の相互作用によって文化的な独自性が歴史的に醸成されてきた諸地域・島々の集合といった、より複雑な地域構造を想定する必要性を示唆している。
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