研究課題/領域番号 |
15530015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
笹田 栄司 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20205876)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 裁判を受ける権利 / 決定手続 / 非訟事件 / 仮処分 / 執行停止 / 内閣総理大臣の異議 / 訴訟事件 / 非訴事件 / 公開 |
研究概要 |
昭和35年最高裁大法廷決定は、公開・対審・判決という憲法上の手続保障を裁判を受ける権利に結びつけた。当時としては画期的な判例であるが、その後、最高裁は裁判を受ける権利及び非訟事件における手続保障に関し殆ど言及していない。現在では、上記決定は変更されるべきと考えるが、その理由は次の通りである。最高裁判例は訴訟と非訟を明確に分け、その基準として「純然たる訴訟事件」を採用する。しかしその内容は空虚であり基準たり得ていない。さらに、非訟事件中の乙類審判の前提として最高裁判例が指摘する「実体法上の権利義務の存否を確定する民事訴訟なるものが紛争解決の場面で機能することは、理論的にも実際的にも存在」せず、最高裁の論理は破綻しているとの指摘もある。 ところで、訴訟・非訟と判決・決定手続の組み合わせについては、a 訴訟=判決手続、b 訴訟=決定手続、c 非訟=決定手続がありうるが、35年大法廷決定の意図したところは、aとcの区別であり、bは念頭になかったと思われる。しかし、このb領域には「仮処分」が含まれ、民事訴訟のみならず行政事件訴訟においても重要な役割を有しているが、判例理論によっては例外的に口頭弁論又は審尋が命じられる(北方ジャーナル事件最大判)のみで、b領域全般についての憲法的検討はなされないままとなる。訴訟上の和解の隆盛等の司法のインフォーマル化を目の当たりにすれば、b及びc領域についても憲法的枠を設定する必要があろう。即ち、憲法32条「裁判」は憲法82条「裁判」よりも広い概念と捉え、憲法82条が保障する公開・対審・判決が規定されていない形式のものでも憲法32条「裁判」と解する方向を採るべきと考える。以上のことは行政訴訟における「執行停止」についても原則的に妥当し、「内閣総理大臣の異議」の是非も仮処分の法的性質の検討から開始されるべきものと考える。
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