研究課題/領域番号 |
15530037
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
国際法学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
古谷 修一 早稲田大学, 大学院・法務研究科, 教授 (50209194)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 国際刑事裁判所 / カンボジア特別裁判部 / シエラレオネ特別裁判所 / 混合刑事裁判所 / 国内実施立法 |
研究概要 |
本年度は、研究の最終年度として、国際刑事裁判所(ICC)に関する各国の実施立法について、その「実施機能」の検討を行った。具体的には、(1)ICC発給の逮捕状・召喚状などを執行する国内手続・国内機関の役割、(2)ICCへの被告人等の移送に関する国内裁判所の役割、(3)被告人または有罪の判決を受けた者の資産差し押さえ等に関する民事執行措置、(4)ICCの刑罰執行に対する国内刑事法規の適用可能性、の各論点に関して実施立法の内容を分析した。 その結果、既存の渉外的な刑事法規とは独立した形で実施立法を定めた国においては、国内法規がICC規程と連動することに成功し、その実施機能が高いのに対し、既存の国内法規に組み込んだ形の実施立法では、必ずしもICC規程が予定している機能が果たされていないことが明らかとなった。とりわけ、国内裁判所がICCからの逮捕状・召喚状・被告人移送の命令などに対して、独自の審査・判断権限を持つか否かの点が、各国の実施立法において大きな相違があることが判明した。独自の権限を留保している国においては、ICCと各国裁判所との関係は、ICTY・ICTRと国内裁判所のような垂直的な構造を必ずしもとっておらず、伝統的な国家間関係における司法共助における水平的構造に若干の修正を加えた、いわば準垂直的(垂直と水平の中間的)構造にとどまっている。このため、ICC制度における国際刑事司法の実効的な実現は、国家機関、とりわけ司法機関の判断如何にかかわる側面が大きく、この点で脆弱性をかかえていることを解明した。 また、資産差し押さえなどの民事手続との整合性についても、各国の法制には大きな隔たりがあり、国内裁判所の別個の判断が要求される傾向が強く見られた。被害者補償の整備がICCの特徴であると言われる一方で、その実施について国内法制が十分に対応できていない実情が明らかとなった。
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