研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、近時急速に進展している企業の再編・統合に適切に対処するため、独占禁止法の企業結合規制法理を再検討することにある。平成16年(2004年)6月に公表した「独占禁止法による企業結合規制に関する一管見」(一橋法学3巻2号・51頁)は、本研究の成果の一部をとりまとめたもので、企業結合規制の根拠・趣旨について理論的側面から再検討を加え、企業結合においては、製品市場での競争のテストを経ることなく、企業規模・事業範囲が拡大される点に、規制の理論的根拠があることを示した。そこから、企業結合による効率性の向上は、企業結合規制においては、特定の場合にのみ考慮されるべきことを明らかにした。すなわち、効率性の向上が、企業結合による企業規模および事業範囲の拡大によってもたらされる場合は、規制を発動に際して効率性の向上を考慮する必要はなく、企業規模および事業範囲の拡大以外による効率性の向上がある場合にのみ、それが考慮されるべきことである。また、実体的規制基準については、市場支配的地位の形成又は強化とともに、その行使の具体的な経過の立証が要求される現状を明らかにした。その後の研究の成果は、平成17年(2005年)に公表する予定である。そこでは、公取委の新しい企業結合ガイドラインおよび欧州委員会の新しい企業結合規則を主な検討対象とし、さらに、実際の企業結合規制の事例を踏まえて、主として企業結合の実体的規制基準に検討を加えることとしている。また、寡占的な市場支配力とカルテル規制の関係を解明するとともに、近時有力に主張される企業結合規制における精緻な経済分析の利用が、企業結合規制においてどのような意義を有するのかを明らかにする予定である。なお、企業結合規制における規制手続の問題を含め、平成17年度以降も、逐次、本研究の成果を公表することとしたい。
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一橋法学(一橋大学大学院法学研究科) 第4巻第1号(発表予定)
110007623752
一橋法学 3巻2号
ページ: 51-71
独占禁止法(金井貴嗣(ほか11名と共著))(弘文堂)
ページ: 125-144
2004年獨協インターナショナル・フォーラム (口頭発表)
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The Hitotsubashi Journal of Law and International Studies Vol.3 No.2
110007619932
The Antimonopoly Law(KANAI, Takaji et al.)
Released orally, based on the paper, in the Dokkyo International Forum(International Center, Dokkyo University ; Law School, Faculty of Law, Dokkyo University)
一橋法学(一橋大学大学院法学研究科) 第3巻第2号