研究課題/領域番号 |
15530048
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上嶌 一高 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40184923)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 金融・証券犯罪 / 罰金刑 |
研究概要 |
確定的な定義が存在しない金融犯罪であるが、これに、証券取引法に違反する罪をあわせて金融・証券犯罪として把握すると、経済・金融取引を行う際の資金・資産の移動それ自体や、そうした移動に伴って発生する経済的利益の追求が特徴となる。このような金融・証券犯罪に対して、経済的負担を課す罰金刑を中心としてどのような制裁が有効であるかを検討することが、本研究の目的であった。 1.諸外国について、罰金刑の理論的意義には、相違がみられるものの、実際には、その他の金銭的制裁との機能分担は、必ずしも厳然としたものではなく、金融・証券犯罪抑止のために金銭的制裁の諸形態が総体として捉えられていることがうかがわれた。2.また、わが国でも、証券取引法における課徴金の導入や、独占禁止法における課徴金制度の強化・改正がなされ、立法においても、課徴金が刑罰的な役割を担う方向にあることが明確になってきた。もっとも、課徴金が、個々の法律によって異なる意味をもつ、あるいは、同じ法律の中でも、各違法行為との関係において異なる意味をもつとすることは、広義の制裁の中で課徴金がもつべき役割を明確化することを妨げ、全体としてどのような制裁が課されるべきかについて一般的な指針を立てることを困難にする。3.課徴金の広い範囲での導入自体は、違法行為によって得られた経済的利益の剥奪という面からは、金融・証券犯罪の核となる経済的利益の追求を無にするという意味において望ましいと言えるが、課徴金の機能はそれに純化すると同時に、それとは機能を異にする制裁金をあわせて課すことができる制度も考えられるのではないか。現在でも、罰金刑が存在するが、事案の悪質さに応じて、刑事手続によることを必要とせず、機動的に課すことができる制裁金を併用することが、金融・証券犯罪対策に有効であると思われる。
|