研究課題/領域番号 |
15530061
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
菅原 郁夫 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90162859)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2003年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 訴訟へのアクセス / 司法制度改革 / 利用者評価 / 裁判官評価 / 弁護士評価 / 実態調査 / 訴訟回避 / 民事訴訟 / 法意識 / 訴訟制度評価 / 手続法公正 / 司法制度評価 |
研究概要 |
司法制度改革審議会は、平成12年に「国民に利用しやすい民事訴訟制度の在り方」を検討する際の基本的な資料とするために、民事訴訟の利用者を対象とした調査を実施した。今回の意識調査は、そのフォローアップ調査であり、審議会が行えなかった一般市民への意識調査を行うものである。そのため、調査項目も基本的には審議会の民事訴訟利用者調査と同じ構造とし、民事訴訟利用者と民事訴訟の経験を前提としない一般市民の差にあわせ、最低限の調整のみを行った。また、調査対象地に関しても、民事訴訟利用者調査が行われた地裁所在地にあわせた10地区20市町村を選択した。このように基本的な条件を合わせることによって、同一事項につき、民事訴訟利用者と利用経験のない一般市民の民事訴訟制度に対する評価にどのような異同が存在するかが検討された。調査は無記名郵送方式で行い、1273人からの回答があり、回収率31%となった。調査結果の検討は、民事訴訟への期待、弁護士へのアクセス評価、訴訟手続や訴訟関与者(裁判官や弁護士)の評価、訴訟結果の評価、訴訟制度全般に関する評価などの点に関してなされたが、民事訴訟利用者調査の結果を補強する成果や、それとは異なる成果など多くの意味深い発見がなされた。具体的には、民事訴訟への期待に関しては、民事訴訟利用者、一般市民ともに公正な解決求める傾向が強く、一般市民も白黒をはっきりさせることを望んでいることが明らかになった。弁護士へのアクセスに関しては、まだ法律問題を抱えていない一般市民は約8割が弁護士を見つけるのに苦労しそうだとの回答を寄せており、民事訴訟利用者調査とは異なる結果が得られた。手続評価に関しては、一般的には一般市民の評価よりも、民事訴訟利用者の評価が高くなる傾向が見られた。同様の傾向は、弁護士評価に関しても見られた。逆に、裁判官評価に関しては、一般市民の評価が民事訴訟利用者の評価よりも高いものがいくつか存在した。訴訟の結果評価に関しては、民事訴訟利用者の評価と一般市民の評価は概ね一致していたが、裁判結果は常識と一致しているか、といった質問に関しては、一般市民の方がこれを肯定するものがすくなかった。最後に、裁判制度全般に関する評価に関しては、やはり民事訴訟利用者の評価と一般市民の評価は大きく異ならなかった。訴訟制度に対する民事訴訟利用者の評価が低い点に関しては、訴訟では不利な結果にわかったものが裁判制度に否定的な見解をもつ故に、全体の評価が引き下げられる旨の指摘がなされていたが、今回、利害関係のない一般市民の評価においても裁判制度全体に対する満足度は20%程度にとどまっており、評価の低さの原因は敗訴当事者の評価以外にも存在する可能性が示されたといえる。
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