研究課題/領域番号 |
15530101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
国際関係論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 基史 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00278780)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 国際制度 / 国際協調 / 民主的平和 / 民主主義 / ゲーム理論 / 国際ガバナンス / コンプライアンス / 国際人権法 / 国際平和 / 安全保障 / バーゲニング / 国際関係理論 / 不確実性 |
研究概要 |
国々が紛争に陥るということは、双方の政策選好が相手にうまく伝達されなかったことの帰結である。ゆえに紛争を解決するということは国家間に効率的な意思伝達回路を形成することにほかならない。しかし本質的にアナーキックな国際関係において自国の利益を拡大しようとする国家は、虚偽の情報を発信する誘因に駆られるため、信頼性の高い意思伝達回路を構築することは容易でない。この点に関して、新世代の民主的平和論は、民主国家こそが自国の選好を明示的に伝達できる政治制度を保有しているため、民主国家同士の間でコミュニケーションが効率的に行われ、双方が望まない紛争が回避されるという仮説を提示している。 本研究は上記のような最近の研究動向を渉猟しながら、国内政治制度の特性を鑑み、国際制度を基盤とした民主国家と非民主国家の政策協調について考察してきた。まず、新世代の民主的平和論が論じるように非民主国家の政策的透明性が制度的原因で相対的に低いことを前提にして、民主国家と非民主国家の関係にはモラルハザード、逆選択、確証不可能性というような協調を妨げる問題が発生することを示した。そして、とりわけ大量破壊兵器(WMD)拡散および人権侵害問題について、民主国家と非民主国家の間に潜む協調問題を克服する国際制度について分析した。WMD拡散防止問題に関しては、不完全情報ゲーム理論を用いて、政治体制の不透明性に整合した制裁能力を持つ「制限されたトリガー装置」を利用して非遵守行為を防止するできることを示し、人権侵害問題に関しては、比較制度分析を行って、経済協定に「人権条項」を設定して人権遵守を協定便益の条件とする制度の有効性を実証的に示した。このような国際制度を設計することは、多元化した国際システムにおいて実効性のある国際ガバナンスを構築するにあたり不可欠であると思われる。
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