研究課題
基盤研究(C)
米国の多国籍企業が「TRIPs」をGATT・ウルグアイ・ラウンドのアジェンダにするために日米欧の政府・産業界及び国際機関に対して行った圧力活動の実態(特に「知的財産委員会(IPC)」)を解明するため、ワシントン、ジュネーヴ、東京、大阪で関係者への訪問調査(インタビュー)を行い、また国内外の諸機関から関連資料(大半は未刊行)を収集した。上記調査の結果、以下の諸点が明らかになった。(1)IPCの中核メンバー(ファイザー及びIBM)は、IPCの結成前に、「知的財産権=貿易問題=GATTマター」のアイディアを、(a)米国国際ビジネス評議会(USCIB)等を通じて米国産業界に、(b)大統領貿易交渉諮問委員会(ACTN)を通じて米国通商代表部(USTR)に、(c)OECD経済産業諮問委員会(BIAC)や日米財界人会議等を通じて先進各国の産業界に、それぞれ広めることに成功した。(2)IPCは、USTRが参加する4極貿易大臣会合(QUAD)や非公式専門家会合("Friends of Intellectual Property")を通じて、また、(b)IPC自身が参加する日米欧民間3極会議(IPC、欧州産業連盟、経団連)を通じて、先進各国の政府に上記アイディアを共有化させることに成功した。(3)IPCはGATT、世界知的所有権機関(WIPO)、OECD等の国際機関事務局にも働きかけたが、WIPOとOECDはIPCのアイディアを共有しなかった。(4)日欧の政府・産業界は必ずしもIPCの見解を全面支持したわけではなく、米国の知的財産権政策を国際交渉の場で是正させる意図もあって、TRIPs交渉を行うというIPCの提案を受け入れていた。
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広島法学 28
ページ: 150-162
Hiroshima Hougaku vol.28, no.3
広島法学 第28巻第3号
ページ: 230-240
Hiroshima Hougaku vol.28, no.2
広島法学 第28巻第2号