研究分担者 |
高嶋 雅明 和歌山大学, 経済学部, 教授 (90031848)
加藤 國彦 和歌山大学, 経済学部, 教授 (00233784)
今田 秀作 和歌山大学, 経済学部, 教授 (60201943)
片桐 謙 和歌山大学, 経済学部, 教授 (90233741)
金澤 孝彰 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (50252838)
大森 拓磨 和歌山大学, 経済学部, 講師 (00334219)
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研究概要 |
本研究は,国際通貨・金融システムの変容について地域的観点と歴史的観点とを融合させる形で分析し,そこから現代の国際通貨・金融システムの理論的な含意とそのあるべき姿を探ろうとすることにあった。地域的にはアメリカ,ヨーロッパ,アジアの3つに分け,歴史的にはアメリカ,ヨーロッパについては金本位制の成立,変質,崩壊の過程を,そしてアジアについては中国の通貨・金融制度を戦間期ならびに現状の両面からみようとしている。つまり,アメリカについては19世紀から20世紀にかけての金本位制の成立過程を,ヨーロッパについては第一次世界大戦から戦間期におけるイギリスやドイツにおける金本位制の変質ならびに崩壊過程を,さらにアジアについては歴史的には同じく戦間期の日系銀行に焦点を当てつつ中国金融市場の具体的な姿ならびに現代における中国の人民元改革を,それぞれグローバルな観点から分析している。本研究の学術的な特色の1つは,歴史的研究としては資本主義経済の確立においてシステムの根幹をなしてきた国際金本位制については,これまでとはまったく異なった方法で研究している点にあるといえる。つまり,金本位制についての成立・維持・崩壊の過程をそれぞれアメリカ・イギリス・ドイツに分けて比較的手法で考察しているが,このような方法により,一方ではイギリス金融システムの普遍性と特殊性の両面を捉えることができ,他方では金本位制の各国金融制度への移植と相克という,金本位制をめぐる問題性をより多角的にみる視座が与えられたと思われる。さらにイギリスについても,本国における金本位制の維持をインドとの関係の中でみようとしたのも斬新である。また現在,国際通貨・金融システムに変容をもたらす震源と考えられる中国の通貨・金融システムについて,歴史的観点と現状分析的観点の両面で光を当てている点で特色がある。
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