研究課題/領域番号 |
15530153
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用経済学
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
荒井 一博 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40134879)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 信頼 / 文化 / 効率性 / 新古典派経済学 / ゲーム実験 / アンケート調査 / 信頼の醸成 / 成果主義賃金制度 / 国際比較 / 教育 / 信頼と能力 / 信頼と外的圧力 / 信頼と自己利益 / 信頼と組織 / マスメディアと信頼形成 / 信頼と権限 / 信頼と統計的差別 / 組織 / 不完備契約 / 生産関数 / 心理学 / コミットメント / 競争均衡 |
研究概要 |
この研究では最終的に理論とゲーム実験とアンケート調査に関する成果を得た。またその過程で、内外の多くの研究者との意見交換や共同研究およびセミナーなどでの研究発表も行った。 まず理論面では、一般均衡論の生産関数の仮定が信頼の重要性を無視する機能をしていることや、契約の不完備性のために市場でも効率性の達成には信頼が重要であることなどを論じた。また、信頼の濃度や構造などを問題にしながら、組織・市場・社会での信頼醸成法を論じた。さらに、意図と能力・外的圧力・自己利益とを識別して信頼分析はできないこと、あえてそうしても無益であることなどを論じた。そして単に信頼の存否を議論するのではなく、効率性基準を信頼研究に適用すべきことを主張した。 学生を使ってゲーム実験を行い、ゲーム結果に対する私利追求と文化の影響を分析した。そして説得によって協力が格段に増大すること、平等という価値がゲーム的状況で重視されること、他者の監視が信頼度やゲーム結果の効率性を高めることなどを明らかにした。効率性に対する文化の好ましい効果は、説得や科罰や監視などの積極的な文化的活動によって顕著に増幅することを論じた。 スエーデン研究者と共同で、学生を使って信頼に関する意識調査と分析を行った。その結果、両国には対象による信頼度のランキングに多少の相違があること、家族に対する信頼は他種類の信頼を減じないこと、教育(文化)が信頼形成にとって重要なこと、シグナルを基に信頼の意思決定をする個人は非協力的であることなどが判明した。調査会社を使って一般労働者に対するアンケートも行い、成果主義賃金制度の導入などによって職場の信頼やそれに付随する労働意欲などがどう変化したかを分析した。その結果、同制度には労働意欲や効率性の点で幾多の問題があることが判明した。
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