研究概要 |
本研究の目的は、わが国の社会勘定行列social accounting matrixを作成し、それを基礎データとして数量モデルを構築して、政策代替案の効果を定量的に比較する分析手法を検討することである。 バブル崩壊以降、長らく低迷してきたわが国経済は、ようやく不況を脱しつつある。とはいえ、生産性の高い明るい未来を実現するためには、財政政策、金融政策、構造改革などを組み合わせた総合的な施策が必要である。どのような経済政策パッケージを採用すべきかを判断するには、数量モデルに基づく正確な政策評価が必要であり、そのためには金融面を含む基本データセットを作成すると同時に、各経済変数について政策実施前後の変化の方向だけではなく、変化の大きさをも把握する必要がある。このような分析は、理論モデルに基づく定性分析では不可能である。 この研究目的を達成するために、本研究では以下の5つの作業を行った。第1は、国民経済計算データを用いてわが国の社会勘定行列を作成する方法を検討することである。その準備のために、第2に社会勘定行列作成に必要な最小限の国民経済計算体系SNAの検討を行う。そして、社会勘定行列を利用した数量分析の手法として、時系列比較、乗数分析、応用一般均衡分析を取り上げ、順番に検討する。第3,第4,第5の作業がそれぞれにあたる。
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