研究概要 |
まず、15年度には、名古屋市民を対象として、行政サービスの満足度・要望についてのアンケート調査を8月から9月にかけて行った。有効標本は2,123で回答数569(26.8%)であった。16年度はアンケート結果の分析を行った。その結果、満足度が低く要望の強いサービスは、(1)防犯・消費者保護、(2)地震・災害対策、さらに、(3)公害対策、である。医療・介護サービスの充実、への要望も強い。逆に、最も期待されないサービスは、「道路の拡充・延長」である。 また、「公共交通の充実」は、住居の選択や満足度に与える効果が強く、公害対策にもつながる。 海外調査研究では、15年度にスウェーデン、16年度にフランスを訪問した。調査目的は、自治体の規模と財政、合併に対する政策の違いである。自治体の合併は自主性に任せる限り進まないのは全世界共通である。しかし、小さな自治体では、住民が望む「防犯」「地震・災害対策」「公共交通の充実」「医療・介護サービス」などのサービスが十分行えないのも事実である。 自治体の規模の拡大の方法として、スウェーデンは、1974年に「強制合併法」により約1,000の自治体を278にした。一見、民主主義的でないように思えるが、実際には非常に丁寧な合併案(5年の歳月をかけて)が作成されたこと、条件が整えば分離も認めていることがインタビューにより明確になった。フランスは、市・町・村の上に広域連合としてのコミューンを形成し、実質的な合併を行っている。 16年度にはアンケート調査のまとめと分析、および、スウェーデンの強制合併についての論文を公表し、2005年3月3日に「附属研究所プロジェクト報告会」で報告された。さらに、名古屋市立大学経済学研究科・附属経済研究所2005年度公開シンポジウム「行政サービスと公務員の役割:民営化のメリットとデメリット」(2005年11月25日、中区役所ホール、定員400名)でもコーディネータ兼報告者として、上記の研究成果を名古屋市民に公開する。
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