研究課題/領域番号 |
15530232
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 明伸 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70186542)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | マリア・テレジア銀貨 / 英国ポンド / 銀相場 / アジスアベバ / コーヒー輸出 / エチオピア / 中国 / 外国銀貨 / ルピー銀貨 / 東アフリカ / 現地通貨 |
研究概要 |
英国国立公文書館においてアフリカ地域における銀貨などの貨幣の流通に関する資料の収集につとめた結果、マリア・テレジア銀貨などの現地における流通の実態に関するより具体的な情報をえることができた。特筆すべきことは、イタリアによるエチオピア併合戦争以前のアジスアベバにおけるマリア・テレジア銀貨の英国ポンドに対する比価の月別趨勢を知ることができたことである。その比価の月別趨勢とロンドンの銀相場の同じく,月別趨勢の相関性を調べてみた。その結果、両者の相関係数が高い時期と、さほど高くない時期とがかなりはっきり区別されて現れた。銀相場とマリア・テレジア銀貨比価の相関が強い時期は、エチオピアのコーヒー輸出が堅調だった時期に合致し、その裏もまた真であった。このことは、現地産品の輸出が国際的価格体系と現地のそれの同調性を高め、マリア・テレジア銀貨をその架け橋の役割を果たしていたことを示す。同時にその連結は、ギアの切り替えのごとく、輸出産品に市況によってスイッチしたことになる。このことは、19世紀から20世紀初めにかけて世界的に流通した他の外国銀貨の役割を考える上でも重要である。つまり国際的価格体系と特定の現地産品を輸出する地域経済との間には、その産品の市況の状況に応じて連動したり断絶したりする関係にあり、外国銀貨は両者を媒介するものとして存在していたがゆえに抜きがたい地歩を築いたと考えうる。20世紀初頭の東アフリカにおけるマリア・テレジア銀貨と中国における日本銀貨の流通が環状流通をなしていた共通性は、そうした同一の構造の存在を物語るのであろう。
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