研究課題
基盤研究(C)
本研究は、近江商人の中でも、八幡商人や五個荘商人とは異なった類型に属する日野商人を取り上げ、その経営実態を分析しようとした。日野商人の経営は、他の近江商人と異なり、単なる商品販売だけでなく、製薬業や醸造業などの事業も内包し、全国各地へ多くの出店を設け、大番頭仲間という強い連帯で事業活動を展開していた。本研究調査では、次のような作業を行った。日野商人の正野玄三家の史料を写真プリントし、解読するとともに、その分析を行い、論文にまとめた。日野町の近江商人館でも近江商人関係文書の写真撮影を行い、日野町域内を踏査した。また、滋賀大学の史料館では、中井家文書を中心に写真を撮影した。関東地方では、群馬県立文書館、埼玉県立文書館、栃木県立文書館などで、近江商人関係史料の閲覧や史料所在の情報を得た。さらに、栃木県、群馬県、埼玉県で現在酒造業を営んでいる近江商人の子孫を訪ね、聞き取り調査などをした。各地の図書館などで関東へ進出した近江商人関係の文献などのコピーも行い、情報を収集した。このように、調査を重ねるとともに、収集史料のプリント、整理を行い、分析をすすめ、本報告書にあるようなさまざまな新しい事実を明らかにした。その内容は、「近江商人と日野商人」「近江商人の経営と危険分散」「近江商人の近代化」「近江日野商人正野家の家業と奉公人」「近江日野商人正野家の奉公人と給金」「近代における日野商人正野家の雇用形態」「明治期における日野商人正野家の家則と店則」「近江日野商人関係文献」「近江日野商人史料」からなった。今後は、この研究で明らかになった研究成果を踏まえ収集蓄積してきた史料も活用し、さらに調査を進め、研究を深化継続させてゆきたい。
すべて 2006 2004
すべて 雑誌論文 (7件)
研究紀要(滋賀大学経済学部附属史料館) 39
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研究紀要 39
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