研究課題/領域番号 |
15530264
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経営学
|
研究機関 | 八戸大学 |
研究代表者 |
金綱 基志 八戸大学, ビジネス学部, 助教授 (50298064)
|
研究分担者 |
KANETSUNA Motoyuki Hachinohe University, Business Faculty, Associate Professor (50298064)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
|
キーワード | 多国籍企業 / 情報粘着性 / 社会的共同体 / グローバル知識移転能力 / 行動環境 / 社会化 / タイ / 日系現地法人 / 海外派遣 / 人材育成 / 組織設計 / グローバル / コミュニケーション・ネットワーク / ローカル化 / 部門横断的関係 |
研究概要 |
これまでの多国籍企業論においては、なぜ企業は多国籍化するのか、つまりなぜ輸出でもライセンス契約でもなく直接投資が行われるのかという点について議論が重ねられてきた。取引コスト理論(内部化理論)は、市場の不完全性から、この問に対する説明を行ってきた。一方で、「組織の優位性」からこの説明を行う議論もある。後者においては、企業が多国籍化するのは、国境を超えた知識の移転における効率性のためであると考えられている。 本研究は、市場よりも効率的に知識の移転を行うことを可能とする組織の内的メカニズムを探究することによって、後者の議論を発展させていくことを目的としている。ここでは、組織に特徴的なメカニズムとして社会化によるコントロールに焦点をあてる。社会化によるコントロールとは、信頼やコミットメントに基づく行動環境をつくり上げることによる個人の行動のコントロールと位置づけることができる。行動環境は個人の自発的な行動を促進するため、知識の供給側と受入側は、知識移転に必要とされる能力の獲得と、両者の関係性の構築により自発的にコミットするようになり、結果として、知識移転がより効率的に行われることになると考えることができるかもしれない。 本研究では、日本企業のタイ現地法人の調査をつうじて、いかに信頼やコミットメントに基づく行動環境が形成され、この行動環境が知識移転の効率性に影響を与えているのかを検証している。調査の結果、タイ現地法人における行動環境は、知識の供給側(日本人海外派遣者)と知識の受入側(タイ人技術者、オペレーター)との間で行われる期の教育プロセス、つまり教える・教えられるという関係性を継続する中でつくり上げられる傾向にあることが明らかとなった。特に、このプロセスは、移転される知識が暗黙的な性質をもつケース、つまり知識の受入側が製造プロセスの問題解決能力を吸収する場合に重要となっている。製造プロセスにおいては、様々な種類の問題が生じるため、知識の受入側はこの能力を吸収するために、長期にわたって様々な問題の解決を行う経験の蓄積が必要である。信頼をベースにする行動環境は、この教育プロセスを促進させる役割を担っている。また、知識の供給側が、製造プロセスに関する十分なスキルや能力をもっていることが、こうした行動環境を形成するための前提条件となっている。
|