研究課題
基盤研究(C)
日本企業の国際経営の特徴は、グローバルなオペレーションを本社に権限を集中しながら日本人が行うエスノセントリックなマネジメントの形態がとられていることである。従来の国際経営の研究では、あまり注目されてこなかった非製造企業の海外人事戦略について、企業間のビジネスの形態が極めて近いと考えられる国際線航空会社を対象として、外国と日本企業の比較研究により解明することを試みた。海外オフィスの代表の国籍と職務の分析を通じて、航空会社の国際経営におけるマネジメントとオペレーションの適合性を明らかにし、さらに日本企業の国際経営の特徴の解明に向けたインプリケーションが期待された。本研究では、外国航空会社の日本駐在の代表者と日本の航空会社の本社人事担当者および米国に駐在する代表にインタビューおよびアンケート調査を行い、代表の配置とその特徴について、また本国からの派遣社員が現地でマネジメントを行うことの利点と制約を中心に分析を行った。これらの分析から結果から、航空会社の代表者の国籍は、それぞれの企業の海外人事戦略として、社内の海外代表の位置づけと共に、市場の重要性および顧客との適合性が考慮された結果であると考えられる。航空会社の事例からは、外国航空会社においても、日本の航空会社と同様に、本社の派遣社員を重視する傾向が見られる一方で、効率性に基づく判断で海外人事が行われている航空会社があることがわかった。そのことから、日本企業に広く見られるエスノセントリックな国際経営の形態が、日本の航空会社にのみ顕著に見られるとの判断はできなかったが、日本の航空会社は、本来双方向性の国際線航空業において、日本の市場と顧客に大きく依存し、内向きのグローバル・オペレーションに向けたマネジメントが維持されているといえる。
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国際ビジネス研究学会年報2005年 No.11(投稿中)
110004498627
The Annual Bulletin, Japan Academy of International Business Studies No.11(Preprint)
国際ビジネス研究学会年報2005年 No.11(予定)(印刷中)
国際ビジネス研究学会第11回全国大会報告要旨
ページ: 87-90
Proceeding of Academy of International Business Studies