研究課題/領域番号 |
15530302
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
桜井 久勝 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10127368)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 会計学 / 企業価値評価 / 財務報告 / 知的財産 / 特許権 / 割引配当モデル / キャッシュ・フロー / 発生主義利益 / 割引超過利益モデル / ブランド価値評価 / 無形資産 / 企業価値 / ブランド / 会計情報 |
研究概要 |
1.企業価値評価における知的財産情報の重要性 市場による企業価値評価額である株式の時価総額と、貸借対照表に計上された実物資産および金融資産の関連性を調査したところ、近年に至るほど、実物資産と金融資産の金額が企業の価値評価額を説明しうる割合が低下していることが判明した。このことは知的財産に代表されるような無形資産が、企業価値の評価に際してその重要性を増していることを意味すると解釈される。このことから会計情報の公開制度の一環として、知的財産の価値評価額のオンバランス化を示唆する見解が登場しているが、他方では知的財産も含めて、企業価値の評価は投資者の役割であり、財務会計は投資者による価値評価のための基礎情報の提供にとどまるべきであるとの見解もある。本研究では、財務会計の概念フレームワークに照らして、これら2つの見解を検討したうえで、後者の見解を支持する結論を導出した。 2.公表財務諸表に基づく知的財産の価値評価の可能性 特許権や商標権などの知的財産が将来期間に生み出す予想キャッシュ・フローの割引現在価値として、その価値評価を行うことを想定し、そのような主観的価値評価額が株価形成に反映されていることを前提とした場合、財務報告の適否の判断基準は、現行の公開制度のもとで入手可能な公表会計情報を活用することにより、株価形成と首尾一貫性を有するような知的財産の評価額を導出することが、どの程度まで可能かという問題へと具体化することができる。商標権の価値評価については、すでに過年度の研究において、経済産業省のブランド価値評価モデルを活用した公表会計情報から株価形成と首尾一貫した価値評価額の導出が可能であることを明らかにした。この研究成果を承けて本年度は、特許権や研究開発活動の価値評価に役立つモデルと、そのモデルに投入されるべき会計情報について考察した。その結果、モデルに織り込まれるべき属性として、次の3点が特に重要であることが判明した。すなわち、(1)特許権の自己実施がもたらす市場の独占状態に起因する超過的なキャッシュ・フローの生成、(2)有効に成立し機能していた特許権が訴訟や代替的発明により突然に法的および技術的に効力を失うリスク、および(3)自社実施にかえて他社実施を許可した場合の実施料収入からのキャッシュ・フローがそれである。このうち(2)の属性に関する情報の公開が、現行制度では著しく不足していることを明らかにした。
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