研究課題/領域番号 |
15530314
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
城本 るみ 弘前大学, 人文学部, 助教授 (60302014)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 現代中国 / 高齢化 / 社会保障 / 地域福祉 / 地域間格差 / 市場経済化 / 世代間関係 / 社会階層 |
研究概要 |
1.中国の高齢者問題は地域による問題所在の差異が顕著であるが、都市と農村格差ばかりでなく都市化の進行度合いによる都市間格差も拡大している。大都市圏では都市機能が郊外へと拡大し、高齢者施設も大型化、郊外型へと変容の兆しがみられ、施設の二極分化や差別化も進行しているが、中規模都市では大都市ほど顕著ではない。 2.高齢者間の生活格差の拡大はどの都市でも一様にみられ、子女世代の収入も高齢者の生活に直接影響を与えている。子女世代の収入の多寡と高齢者自身の収入に居住条件や生活環境が左右され、子女世代が高収入の場合は、高齢者が移住あるいは同居解消にいたるケースが頻出している。子女との同居・施設入所を問わず、高齢者自身の移住に伴う環境変化への適応問題は、今後高齢者福祉の大きな課題となることが予想される。 3.中国の高齢者福祉は私的扶養が中心であり、中国政府は在宅福祉型地域福祉を目指している。しかし地域の高齢者福祉の中核役割を担う施設の社会化は進んでおらず、施設福祉そのものが未成熟段階にある。施設入所への忌避感や民営施設に対する不信感はまだ根強く、富裕層は施設入所を選択せず、個人でヘルパーを雇用するケースが多い。市場経済の進行とともに施設の差別化や施設問競争の激化が今後予想されるが、高齢者福祉施設の差別化におけるキー概念は「医療制度の充実」にある。 4.国の施策はあくまでも困窮者への最低限のサポートにとどまり、人々の施設入所に対する意識の多くも「民営よりも国営」という段階にある。市民・行政ともにしばらく大規模国営施設に対する偏重傾向は続くものとみられる。中国の高齢者施設は自立生活が可能な高齢者を中心に受け入れており、施設ではヘルパーの技術不足・人材不足も深刻である。そのため行政は要介護高齢者のケアを民間に任せることによって、国営施設の負担軽減をはかる方針である。 5.中国の民営施設は「半官半民」形態で、抱えている課題は多い。中国における福祉NPOは大都市圏においてもまだ未成熟で、市民や行政の意識を含め、地域に根ざした高齢者福祉体制の充実をはかる段階には程遠い。「社区服務」という地域福祉も掛け声は大きいが、公的支援の整備は進んでおらず、NPOやボランティアも「半官半民」状況である。
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