研究課題
基盤研究(C)
研究目的は非営利協同セクターとそれを取り囲む三つのセクター〔行政、市場、地域社会〕との相互作用の実態把握と分析を行い、中範囲理論化を試みることにあった。成果は以下の通り。1.非営利・協同セクターと行政との相互作用については、「事業の受・委託」及び「地域政策策定プロセスへの参加」の二点から検討を行った。受・委託関係において留意すべきは、行政と非営利セクターとの間の垂直的な契約関係が相対化され、非営利セクターとのパートナーシップの形成と、さらにはそれを通じた公務労働者側の「仕事の文化」の変容が確認できた。2.非営利・協同セクターと市場との相互作用については、特に規制緩和の進むEU労働市場の中で、移民、障害者、社会的排除の対象者の就労開拓に際し、働く者の側からみた雇用の柔軟化とディーセントワークの保障を確保すべく、非営利セクターが、一方で「規制緩和」の流れ(職業紹介事業を協同組合として展開したり、B型社会的協同組合における雇用形態の多様化の積極的な活用等)を踏襲しながらも、結果として重要な「再規制」機能を果たしていることが確認できた。3.さらに「地域社会」との関係であるが、なぜ非営利・協同組織が「再規制」機能を担いうるのか、その背景としてアソシエイティヴな社会関係〔R.パットナムのいう「ソーシャル・キャピタル〕の歴史的存在と、現代的な再生が重要な土台となっていることが確認できた。中範囲理論化の作業としては、グローバリゼーションや規制緩和の流れの中にあって、非営利・協同セクターは、社会的弱者が「ニッチ」として生き延びる場なのではなく、むしろ市場や行政との積極的関係づくりの中で、他セクターの価値観にも変容をもたらしながら、自らも運動の刷新を模索していく、そのダイナミズムとして「再規制」「ソーシャルキャピタル」「アソシエーション」を相互に関連づけ捉え直す必要性を確認した。
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