研究概要 |
来日・帰国外国人児童生徒の日本語指導のための場である「日本語教室(国際学級)」での聞き取り調査(全国6カ所)を実施した。その結果は以下の通りである。(1)「日本語教室」が外国人児童生徒への心理・社会的な支援に大きな役割を果たしていた。(2)国籍,社会経済的地位,滞日目的,日本語能力,学校での外国人児童生徒の占める比率,学校の受け入れ体制などを含む様々な要因によって,外国人児童生徒への「日本語教室」での対応に大きな違いが認められた。詳細は京都教育大学紀要106号にて公表した。 聞き取り調査の結果をもとに質問紙を作成した。各都道府県教育委員会を通して把握できた全国425ヵ所の「日本語教室」担当教員に調査用紙を送付し,231ヵ所の「日本語教室」担当教員から回答が得られた。その結果,「日本語教室」の平均的な活動は,通室児童生徒一人あたり「週5時間」程度の指導を,「授業時間の取り出し」の形態で,「日本語指導」と「教科の補充」を中心に,「個別」に指導している,と整理することができる。「日本語指導」教員の担当期間は1年以内が最も多く,担当教員が1人で,外国人の指導員やボランティアのないまま,指導している傾向にあった。よって,「母語保持」や「母文化」に関する取り組みが行いにくい状況でもあった。 また,中国帰国中学生を対象としたサイコエデュケーションプログラムを作成し,日本語教室において約3ヶ月間実施した。事前と事後のさまざまな評価や測定の分析から,一定の成果が認められ,これからの外国人児童生徒への心理教育を実施していく上での手がかりを得ることができた。「日本語教室調査」と「サイコエデュケーションプログラム」の詳細は,「研究成果報告書」にて公表した。
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