研究課題/領域番号 |
15530469
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験心理学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石井 澄 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70092989)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ラット / 味覚嫌悪学習 / 文脈間弁別 / 機会設定子 / 延長訓練 / 味覚嫌悪条件づけ / 文脈依存性 / 文脈依存的嫌悪 |
研究概要 |
本研究では文脈依存的な味覚嫌悪反応の形成、すなわち文脈間の弁別学習の手続きによって、条件づけが行われた文脈においてのみ味覚に対する嫌悪反応が示されるようになる現象における文脈の役割について実験的な検討をいった。この問題に関しては、文脈自体が味覚刺激と同様に嫌悪と直接に連合するという説明と、文脈は嫌悪とは直接に連合せず、味覚-嫌悪連合の有効性を規定する機会設定子としての機能を獲得するという説明の2つがある。 これらの説明の妥当性を検討するために、ラットを被験体とし、味覚溶液を条件刺激、塩化リチウムの投与を無条件刺激として、文脈依存的な味覚嫌悪反応の形成の可否、およびその後のテストでそれが他の味覚に対しても転移するかどうかを規定する要因を実験的に検討した。その結果、文脈依存的嫌悪は味覚が被験体にとって新奇か既知かに関わらず形成され、またそれは第2の味覚に対しても転移する、つまり条件づけを受けた文脈内での摂取がもう一方の中性文脈内よりも抑制されることが示された。しかし、文脈間弁別の訓練時にホームケージ内でも同じ味覚を経験させると、文脈間弁別の習得が遅延すると同時に、形成された文脈依存的嫌悪は第2の味覚には転移しないことが明らかとなった。また、このようなある味覚に特殊な文脈間弁別の形成後に、さらに延長訓練を実施すると文脈依存的嫌悪の味覚特殊性は消失した。さらに、文脈間弁別の訓練の1サイクルにおける中性文脈の呈示回数が1回の場合には、形成された文脈依存的嫌悪は他の味覚に対して転移するが、2回の中性文脈呈示を各サイクルで行うと、訓練時に呈示された味覚に特殊な文脈依存的嫌悪の形成が示唆された。 これらの事実は、文脈依存的な味覚嫌悪反応は文脈が機会設定子としての機能を獲得した結果ではなく、むしろ文脈が味覚と同様に嫌悪と直接的に連合し、両者の連合強度の加算効果であることを示唆している。
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