研究概要 |
本研究は,保育者養成校の学生が,普通教室の授業内で保育現場での営みに触れながら学習できる学習環境を構築すること,構築した学習環境を用いた実践を保育者養成のための講義や演習で行い,新しい保育者養成教育の方法について検討することを目的として行った。 開発した学習環境には,次の3つの機能を持たせた。(1)保育現揚と養成校をインターネットで接続して,保育中の子どもたちのようすを,養成校の普通教室でリアルタイムに視聴できる機能。(2)養成校と保育現場で,動画と音声によるコミュニケーション(テレビ会議)ができる機能。(3)保育現揚の映像を蓄積して,養成校の学習者が,その映像を素材にして,共同で学習ができる機能である。この機能を実現するために,コミュニケーション用のパソコン端末,遠隔からのリモートコントロールが可能なWebカメラ(音声送信も可能),学習コンテンツ配信用のWebサーバ,セキュリティ確保のためVPN構築が可能なルーターなどで学習環境を構成した。 実践を行った結果,学習環境の機能は全て安定して動作し,その教育効果についても有効であることを示す結果が得られた。 開発した学習環境による教育方法として,3つの方法を提案する。(1)講義形式の授業中にテレビ機能を用いて,保育現場の保育者による遠隔講義を行う。これにより,講義内容に関する現場の視点からの理解が可能になる。(2)中継機能を用いて,通常は観察する機会が少ない日常の保育以外のさまざまな活動や行事などを,養成校教員の指導のもとで観察する。この際は,教員が必要に応じて観察のポイントなどの指導を行う。(3)遠隔授業や保育のようすを中継した映像を活用して共同学習に発展させ,保育者と子どもの関わりなどの理解をより深める。 今後,さらに実践を重ねて,より効果的な活用の方法を検討する。
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