研究課題/領域番号 |
15530543
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育社会学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
青木 利夫 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40304365)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | メキシコ / 学校 / 教育史 / 教育要求 / 教育政策 / 社会史 / 教師 / 教育 |
研究概要 |
本研究では、日本におけるメキシコ教育史研究の蓄積が少ないことから、メキシコ教育省歴史文書館、国立文書館を中心とした関係機関において、20世紀前半から半ばにかけての学校教育に関する資料調査をおこない、その収集に重点を置いた。その結果、教育省側の公文書、教師や視学官による報告書のほか、住民による請願書や合意書などの貴重な一次史料を多数入手することができた。住民による文書の多くは、学校設置や施設・備品などの整備に関する要求、そのための住民による協力の申し出、教師の派遣や交代の要請などに関するものであった。これらの史料の分析から、教育の質を高めるためによりよい教育環境と優秀な教師を求めて、住民が関係当局に対してさまざまな働きかけをおこなうなど、学校教育に対する住民側の積極的な姿勢が浮かび上がってきた。それに対して教育省側は、財政をはじめ多くの制約のなかで、住民の要求に応えるべく努力してきたが、両者はつねに一致協力する関係にあったわけではなかった。住民は、学校の設置や運営に関わって資金や労働力を提供し、また、教師の生活や教育活動に協力することで主導権をにぎろうとする一方で、教育省=国家は、学校と教師を管理下に置き、それらを通じて国家の意図を貫徹することによって住民を統制しようと試みる。すなわち、学校は、住民と国家とが、さまざまな権利、価値、文化をめぐる「交渉」の場となり、教師はその仲介者となっていたのである。学校教育が全国規模で普及していくこの時代のメキシコにおいては、こうした「交渉」の場となった学校における住民の積極的な関与が、国家によって強力に推し進められていく学校教育拡大の過程に大きな影響を与え、そして学校教育のあり方を規定していたことが明らかとなった。
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