研究概要 |
研究成果は次の3点に集約することができる。 (1)1990年代以降の大学院拡大: 90年代以降の大学院拡大について、設置者別に分解して、拡大の要因を明らかにすると共に、修士課程・博士課程への進学率規定要因の分析を行った。その結果、設置者による大学院・拡大パタンの違いや、進学率規定要因の課程や性による違いが明らかになった。 (2)大学院拡大が大学教員市場に及ぼす影響: 大学院の拡大は、大学教員需要の増加をもたらす。修士課程や博士課程の教育を担当する教員が多く必要となる以外に、学士課程教育を担当していた教員が大学院・教育を担当することにより、学士課程教育担当の教員需要が発生することもあるので、単に学生数に対して必要とされる教員数を考えるだけでなく、それぞれの課程で実際に授業を担当する教員の需要がどれだけ発生しているかを、大学が開講している授業時間の推計にもとづいて分析した。 (3)大学院からの大学教員供給: 大学院での教育を受けた者は、教員候補者として大学教員市場に現れる。もちろん、大学以外の研究機関や民間企業等が,大学院・修了者の就職先として十分に確保されていれば,大学教員以外の職に就く者や大学院・既卒者の動向も踏まえて,大学院・(特に博士課程)からの大学教員供給を分析した。 以上、本研究では、大学院が社会において果たすべき機能のうち最も重要なものとしての大学教員養成機能を分析することを通して、我が国における大学院と社会との接続関係を検討した。
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