研究概要 |
本研究では,GISの教育実践における展開のために利用環境を整備,検証し,技能習得プログラムを開発することを目的として,次の5つの項目について検討した。 1.学校教育に利用可能なGISリソースのディレクトリの作成については,GISソフトとともに,農業集落カードや国勢調査などのデジタルデータの利用環境を整備し一覧を作成した。関連文献のデータベースならびにGISの教材化マニュアルをインターネットを通じて情報発信した。 2.学校教育に利用可能なGISソフトの比較検討については,技能向上を図りつつ,現職教員を対象に勉強会を実施した。また,ワークショップ「教育GISラウンドテーブル in 兵庫」を開催し,小・中・高における実践者やGISソフトの専門家間の意見交換の場を設定した。 3.新学習指導要領における教科内容とGISの適用については,兵庫県加東郡教育委員会の協力を得て,小学校3・4年で用いる地域学習副読本のGIS化に取り組んだ。また,附属中学校の選択教科社会および兵庫県立神戸北高校の「地域研究」において授業を実施した。 4.総合的な学習の時間におけるGISの適用については,附属中学校と協力して,地域調査,地図学習に焦点をあてたプログラムを構築,実施した。 5.教員養成(教員研修)におけるGISの技能習得プログラムの作成については,大学院の授業科目「地域地理学研究法」において授業改善を重ねた。作成したプログラムは,公開講座「地域理解のための地図作成の基礎技術」と神戸市教育委員会の「GIS研修会」に活用した。 本研究では,大学教員と小・中・高の現職教員との緊密な協力体制をベースに,教育実践の場を念頭においた研究を進めることができた。本研究の成果に基づいて,学校教育におけるGIS活用に資するリソースと利用環境,実践事例,技能習得プログラムをさらに蓄積,整備,検証することを今後の課題としたい。
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