研究概要 |
ADHD児をかかえる教師の支援プログラムを開発する目的で,種々な介入を検討した。 第1研究では,ADHD男児を1番前の席に移して,注意を喚起するという通常の介入を担任が行なったところ,重篤な多動は収まり,そわそわ行動に変化した。 第2研究では,模擬授業場面の設定によって,課題に集中して短時間は持続できることが明らかとなった。 第3研究では,担任が学級全体に対して注意を喚起し,望ましい教室行動を強化することによって,学級が落ち着いたが,第4研究では,通常の介入に戻したところ,教室は再び混乱状態に戻った。 第5研究と第6研究では,授業中に補助教員がADHD児のオンタスク行動の機会を捉えて褒め,級友にも知らせて強化することによって,オンタスク行動が増加し,逸脱行動が減少した。 第7研究では,相談専門機関のメンバーが教室の中でADHD児に個別に対応して,逸脱行動への介入と望ましい行動の強化を行い,行動が改善した。その後学校が対応できるように,学校関係者間の連携体制の構築を支援した。 第8研究では,兄弟に対する乱暴行動を専門施設で扱い,過程場面と学校場面に般化をさせた。 第9研究では,家庭内での日課に対して母親に行動療法の手続きを教え,さらに母親の激しい叱責に対してロールプレイを実施して母親の行動を変えることによって,対象児の問題行動を改善させ,方法を学校にフィードバックした。 第10研究では,級友への乱暴行動に対して社会的スキル訓練を行い,さらにセルフコントロールに関して問題解決訓練を行なった。これらの具体的な材料の情報は学校からの情報により,結果はその都度フィードバックした。 最後に,学級内で利用できるチェックリストと,行動療法の手続きの解説をつけた。
|