研究概要 |
(1)次数が一般のジーゲル保型形式のスタンダードゼータ関数の特殊値と合同の関係について精密に定式化し、「重複度1」を仮定してそれを証明した.また、特に次数が2のとき、1変数保型形式fのSaito-Kurokawa liftと非Saito-Kurokawa liftの間の合同と、fの関数の特殊値の関係について精密な予想を立て、特別な場合にそれを証明した.また,その予想の成立する数値例を増やした.これらの研究成果は2004年10月の白馬、および2005年3月唐津での研究集会で発表した. (2)M,Nを平方因子を持たない自然数とし、ψ,xをそれぞれM,Nを導手とするディリクレ指標とするとき、Neben type ψの1変数保型形式のスタンダードゼータ関数を指標xで捻ったものについて特殊値を厳密に求める公式を得た。また、スタンダードL関数の特殊値の数値例を増やした.その際,ある場合にBlock-Kato予想の検証を行った. (3)2次指標をNeben typeとする奇素数レベルのアイゼンシュタイン級数の空間が種テータ級数(genus theta series)で張られることを示した.(Schulze-Pillot氏との共同研究) また,この副産物として「テータ級数でジーゲル尖点形式の空間が張られるか」といういわゆる基底問題をレベルが非平方数のときに証明した.(Boecherer氏,Schulze-Pillot氏との共同研究.)これらの研究成果は2004年9月立教大学でのシンポジウムで公表した. (4)非正則な場合も含むジーゲルアイゼンシュタイン級数のケッヒャー・マース級数の明示式を求めた. これを用いて,関数等式と解析接続について,1978年に荒川恒男氏が得た結果の別証明および精密化を行った.(伊吹山知義氏との共同研究.)この結果は2004年9月立教大学でのシンポジウムで公表した.
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